Discover 手帳 2017

著者からのメッセージ

時間とお金をコントロールし、「数字力」を高めるための手帳

この手帳は、自分の人生をコントロールするためのものです。具体的には、時間とお金をコントロールすることで、それが可能になります。そのためには、まず時間管理の精度を高めることです。くわしくは後で説明しますが、時間管理のポイントは、あらかじめ決められた「スケジュール」の空き時間に、時間が決められていないが、当日中、あるいは週、月のうちに必ずやらなければならない「TO DO」をいかに埋め込んでいくか、です。そして、最も大切なことは、どんなに忙しくても、自分で自分の時間をコントロールしている感覚を持つことです。

わたしの人生の師匠である曹洞宗円福寺の藤本幸邦老師は、「時間もお金も使うもの」とおっしゃっていました。その真意は、時間やお金に使われてはならない、それらは自分でコントロールするものだということです。逆に、それらをコントロールできれば、人生のコントロールもしやすくなるのです。この手帳を活用すれば、時間を自分でコントロールすることができ、ご自身にとって有益な時間をつくり出すことができます。時間がコントロールできれば、お金も稼ぎやすくなっていきます。この手帳でそのお金も管理することができます。ぜひ、自分の時間とお金を管理し、自分で思うような人生を歩むために、この手帳を相棒として役立ててください。

また、この手帳は、ビジネスマンに必須の「数字力」を高められるように工夫してあります。2016年6月に『ビジネスマンのための最新「数字力」養成講座』を出版しました。ご好評いただいた前著の「最新版」ですが、こちらは数字で具体的にものごとを考え、数字を把握する能力を高め、ひいては目標達成力を高めることを趣旨としたものです。その中で、「基本的な数字」を日ごろからインプットすることの大切さを説いています。もちろん、新聞などからコンスタントに情報をインプットしていることが大前提になりますが、この手帳では、「今日の数字」として毎日、それらを記入する欄があります。ベースとなるインプットなしでは、どんなに頭が良くても、必要な知恵は出ません。この手帳で、数字をインプットし、それを見返す習慣をつけてください。

日、週、月ごとにTO DOを把握する

では、「時間のコントロール」について説明しましょう。コントロールすべきなのは、まず日常の時間です。そこで時間をつくり、短期的にやるべきこと、長期的にやるべきことに時間を振り分けていくのですが、その大前提として、自分の時間を正確に把握している必要があります。それはつまり、自分のスケジュールとやるべきこと(TO DO)とを正確に把握することです。このTO DOとは、「メールを書く」「報告書をつくる」など、やる時間がそれほどきっちりと決められていないものです。一方、スケジュールとは、やるべき時間が決められているものと、わたしは定義しています。たとえば、わたしの場合は、スケジュールは「会議への出席」や「講演」「テレビ出演」などです。その合間にTO DOをこなしていくイメージです。そして、その空き時間に、勉強や執筆など中長期的にやるべきことをやっていきます。

それらを、月単位や、週、そして日ごとに把握して、TO DOをこなしていくことにより、多くのアウトプットが出せるようになります。この手帳では、それら、毎日、毎週、毎月のTO DOを書き込む欄があり、すでに決まったスケジュールと照らし合わせながら、TO DOをこなしていけるように工夫しています。もちろん、スケジュールが確定するたびに手帳に書き込んでいきますが、TO DOについては、急に思いつくことが多いので、そのたびに、それぞれやるべき日や週の欄に書き込んでいきます。そうしないと忘れてしまうからです。その際、やるべき日が決まっているTO DOは該当日の、特定の日ではなくともある週にやればよいことは週のTO DOを書く欄に、そして、月単位でのやるべきことについては、月間目標の欄に書くことにしています。

月間目標から長期の目標、そして人生の目的へ

長期の目標、さらには人生の目的を見つけ出すのはなかなか難しいものです。「月間目標」を立て続けることが、より長期の目標を導き出し、さらには人生の目的を見つけ出すための大きな手助けになります。それは、わたしが実際に経験したことです。わたしは、長い間「単著で100冊出版」を目標として、それを公言していましたが、2年前に達成することができました。これも、月間目標の連続により達成できた部分が大きいと思います。そのためのコツは、毎月1日に月間目標を立てることです(この手帳の毎月1日のTO DO欄には、みなさんが月間目標を立てることを忘れないように、「月間目標を立てる」という項目が印刷されています)。

仕事の目標を立てる場合には、現在や将来の自分の仕事に役立つ目標を立てるようにしてください。くわしいことは、拙著『ビジネスマンのための「勉強力」養成講座』をお読みいただきたいのですが、そうした仕事の質を高める勉強を週に数時間、オフのときに行っていきたいものです。その目標を月初に立て、それを繰り返しているうちに、もっと長期的な目標をつかむことができますし、ご自身の存在意義である「人生の目的」も知ることができるようになります。人生の目的を知れば、強く生きることができるようにもなるのです。

プライベートの目標も忘れないでください。「家族で食事をする」「子どもとどこかへ出かける」「友人と会う」などです。仕事は自分の自己実現のために本当に大切ですが、家族や友人との関係もそれと同じくらいに大切です。もちろん、すべての目標が達成できなくてもかまいません。わたしだって、すべての目標が達成できているわけではありません。ただ、月に一度、目標を立てることにより、少しずつでもよいですから、進歩していくこと。そして、目標を立てつづけることが大切なのです。

お金の管理もする

この手帳では、お金の管理もできるようになっています。毎月の財産の残高とともに、手帳購入時(あるいは年末)と1年後のご自身のバランスシート(貸借対照表)を書けるようになっています。「バランスシート」というと、なにか難しく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。ご自身の財産(資産)と負債(ローンなど)を書けば、でき上がるようになっています。簡単ですね。逆に、ご自身のバランスシートが書ければ、その延長線上で会社のバランスシートも読みやすくなることでしょう。

「基本的な数字」を把握する

この手帳のもう1つの大きな特徴は、毎日の気づきや気になった数字を書き込むことができる点です。多くの方は、街を歩いて、あるいは新聞を読んで、いろんなことに気づいていると思います。しかし、また同時に、多くの方は、残念ながら、それを「書き留める」ということをしていないのではないでしょうか。これが、「一歩踏み込む」ということです。この一歩の踏み込みを、「紙一重の積み重ね」でやり続けているかどうかが、ビジネスや人生で成功するかどうかの大きな分かれ目になるのです。ちょっとした踏み込みを習慣づけ、それを積み重ねると、だれでもある一定レベルまでは必ず成長します。そして、毎日積み重ねていけば、付け焼き刃ではない本当の実力が身につきます。コツコツやるのが一番なのです。

この手帳には、過去20年間の主要な「景気指標」も載せてあります(巻末付録2)。気づいたことや気になった数字を手帳に書き込み、それをときどき見返すとともに景気指標とも見比べて、現在の日本経済や世界経済がどのような状況にあるのかを確認してください。その作業を繰り返すことで、みなさんの経済を見る目は格段に向上します。さらに、参考のためにマクロ経済と企業会計で必須のキーワードを10ずつ、定義しています(付録3、4)。それもコツコツと勉強してください。

目標を設定し、それを反省する

わたしは、人が成功するためには、「前向き」、「利他心」、そして「反省」の3つが必要だと思っています。「前向き」であるためには、目標設定が必要です。そして、目標は必ずしも達成できるものではありませんが、そのあとに、「反省」するということを行わなければなりません。論語に、「吾日に吾が身を三度省みる」とあります。発展のためには反省が必要なのです。松下幸之助さんも、「うまくいったときには運が良いと思い、うまくいかないときにはとにかく自身を反省すること」とおっしゃっていますが、とにかく反省する習慣を持つことが大切だということです。その一環として、仕事や健康、家族、友人、信条などのたなおろしを行ってください。その際は、巻頭の「人生のたなおろしシート」を活用することをおすすめします。

また、この手帳には「過去年表」も入れてあります。歴史的な出来事などがすでに印字されていますが、そこにご自分のイベントを入れてみてください。そうすると、みなさん自身、いかに多くのことを行ってこられたことかが分かると思います。そして、自分が忘れたくないことなども記入しておいてください。そうすると、小さな「自分史」ができ上がります。それを見ることで、自分の過去を振り返るのを忘れないようにするとともに、自分がいかに多くの人に支えられて生きてきたかがよくお分かりになることでしょう。感謝の気持ちを持つと、人生がより豊かになりますよ。

さらに、「未来年表」も入っています。ぜひ、ご自分の未来を設計してみてください。毎日や毎週、毎月のやるべきことをこなしていく延長線上に、どういう自分自身があるのかを想像してみてください。人は本来、思ったような自分になるものです。もっと言うと、思ったような自分にしかなれないのです。目標や夢を大きく持って、それを確実に実行してください。そして、この手帳には「記念日」を記入する欄があります。大切な人の誕生日や記念日などを書き込んでください。それが「利他心」の第一歩になります。

この手帳作成には、多くの方の力を借りています。ディスカヴァーの三谷祐一さんをはじめ、当社のスタッフにも協力してもらいました。そして、お客さまにも多くの示唆をいただいています。この場を借りて心よりお礼申し上げます。

(なお、この手帳と一緒に 『どんな時代もサバイバルする人の「時間力」養成講座』 も参考にしてください。)

小宮一慶

プロフィール

経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問のほか、名古屋大学客員教授も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。京都大学法学部卒業後、東京銀行入行。米国ダートマス大学タック経営大学院留学、MBA取得。その後、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。後に、日本福祉サービス(現セントケア)を経て、1996年、独立し、現在に至る。企業規模、業種を超えた「経営の原理原則」をもとに、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年100回以上講演を行う。日経新聞の景気指標を用いた講演には定評がある。自他ともに認める数字オタク、乗り物オタクでもある。

『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『社長の心得』『ビジネスマンのための最新「数字力」養成講座』(ディスカヴァー)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(東洋経済新報社)など、著書は100冊を超え、現在も経済誌等に連載を抱えるほか、「ちちんぷいぷい」(毎日放送)など、関西では複数のTV番組にレギュラー出演中。経済トピックスのコメンテーターも務める。