Discover 手帳 2018

著者からのメッセージ

「なれる最高の自分」を具体化する

わたしはよく、「なれる最高の自分」になるということをお話しします。最近、それには「具体化」が必要だということを、つくづく感じています。しかし残念ながら、多くの方は「なれる最高の自分」の具体的なイメージをなかなか持てていないのではないでしょうか。わたしは「散歩のついでに富士山に登った人はいない」という言葉が好きですが、まず「なれる最高の自分」を具体化するのが大切なのです(このことはあとでくわしく説明します)。みなさんに「なれる最高の自分」について考えていただくために、少しそのお話をします。

多くの方が、人生の一番良い時間を仕事で過ごします。今の時代、40年働くのは普通のことで、なかには50年働く方もいらっしゃいます。その仕事が、つまらない、あるいは仕事で自己実現できないということだと、本人にとっても会社にとっても、そして社会にとっても、とてももったいないことだと思います。自己実現とは、なりたい自分になり、活き活きと毎日を過ごすということですが、わたしは、そのためには「なれる最高の自分」を目指すことが大前提だと思っています。この手帳は、みなさんを「なれる最高の自分」へと導き、そして自己実現することをサポートする手帳ですので、ぜひ最大限に活用していただきたいと思います。

ではなぜ、多くの人が「なれる最高の自分」になれないのでしょうか。わたしが思うに、それは心からそうなりたいと思っていないからです。よしんばそう思っていたとしても、それを具体化できていないことが多いからです。そこで必要なのが「具体化」なのです。「なれる最高の自分」になるといって、反対する人はまずいないでしょう。しかし、そこで思考停止になる人が少なくないのです。自分としては、「なれる最高の自分」を目指している。そしてがんばっている。しかし、それを具体化していなければ、単に必死で散歩しているのと同じかもしれません。それでは富士山に登れないのです。そうならないためには、具体的な目標、それも外部から見てはっきり分かる目標が必要だということです。

ただ一方で、多くの方にとって、人生をかけての「なれる最高の自分」というのはなかなかイメージしにくいのではないかと思います。わたしはそれを知るために、そしてそれを実現するためには、「今年1年かけての」「なれる最高の自分」をまずイメージすることがコツだと思っています。これなら、多くの方ができるでしょう。なかには、3年後、5年後まで具体的にイメージできる方もいらっしゃると思います。とにかく、必要なのは「具体化」なのです。

月間目標から長期の目標、目的へ

「なれる最高の自分」を目指すためには、その具体化が大切だと述べましたが、この手帳を使ったもう少し具体的な方法を説明しましょう。まずは、1年後の「なれる最高の自分」をイメージしながら、年間の目標を立てます。繰り返しますが、具体的にそれを考えることが大切です。さらにそれをおおざっぱに、一年のいつくらいまでに何をしなければならないかを考えていきます。そして、それを毎月初、「月間目標」に落とし込みます。一年分を一気に考えてもなかなかそのとおりにはいかないので、毎月初に考える時間を持つのがいいと思います(ちなみに、この手帳の毎月1日のTO DO欄には、みなさんが月間目標を立てるのを忘れないように、「月間目標を立てる」という項目が印刷されています)。この目標は、あくまでも「なれる最高の自分」を意識したもので、なおかつ「○○の本の△章を読む」など具体化されたものである必要があります。

さらに、仕事の目標だけでなく、プライベートの目標も毎月立ててください。「子どもと遊園地に行く」などです。仕事だけが人生ではありません。もちろん、すべての目標が達成できなくともかまいません。わたしだって、すべての目標が達成できているわけではありません。ただ、月に一度、具体的な目標を立て、行動することにより、少しずつでも「なれる最高の自分」に向かって進歩していくことが大切だということです。そして、毎月目標を立てていると、自分がわずかずつですが成長し続けていることが分かるようになりますし、仕事やプライベートが充実していくのが分かります。もちろん、アウトプットも充実していきますから、周りからの評価も上がります。

TO DOとスケジュールを正確に把握し、毎日の効率を上げる

毎日の仕事の効率を上げることは大切です。そして、良質のアウトプットを出し続けることも。そのためには、やるべきことを時間軸とともに正確に把握する必要があります。この手帳では、その工夫もされています。その前に、「スケジュール」と「TO DO」の違いを説明しておかなければなりませんね。スケジュールは、時間が決まっていることです。たとえば、「会議」や「お客さま訪問」などです。そしてTO DOは、それをする時間は決まっていないけれど、やらなければならないことです。「メールを送信する」「電話をする」などです。

やるべき日が決まっているTO DO、たとえば「原稿の締め切り」などは、手帳の該当日のTO DOを書き込む欄に、特定の日ではなくともある週にやればよいこと、たとえば「お礼状を書く」などは、週のTO DOを書く欄に、そして月単位でのやるべきことについては、月間目標の欄に書くようにします。このときのコツは、とにかく思いついたときに、TO DOを手帳に書き込むようにすることです。どんどん書き込んでいくのです。もちろん、スケジュールが決まっているものは、その時間を正確に書き込んでください。わたしの場合は、開始時間と終了時間を書き込みます。その時間帯を矢印で引いてもかまいません。とにかく、時間が拘束されているということを、分かりやすく示すのです。そして、そのスケジュールの合間にTO DOをどんどんこなしていきます。完了したTO DOは、消し込んでいきます。この消し込み作業はけっこう楽しいものです。

この手帳はバーティカル式ですので、スケジュールで拘束されている時間を把握しやすいように工夫されています。この手帳を最大限に活用してスケジュールとTO DOをこなしていけば、時間をコントロールできるようになっていきます。月単位や、週、そして日ごとに時間をコントロールして、スケジュールやTO DOをこなしていくことにより、たくさんのアウトプットが出せるようになるのです。そして多くをこなすほど、質も上がっていきます。そして、言わずもがなですが、TO DOやスケジュールを毎日確実に精一杯こなし、アウトプットを出し続けていけば、自分の実力や、会社や社会における評価も確実に上がっていきます。

目の前のことを確実にこなせるようになれば、次のステップはそれをより速くやることです。そうすれば、さらに人生のステージが上がります。ステージが上がれば、見える景色やつき合う人たちも少しずつ変わってきて、今まで以上のインプットやアウトプットができるようになります。ぜひみなさんに「なれる最高の自分」を目指し、その過程で人生をステップアップするために、この手帳を最大限に活用していただきたいと思っています。

数字や気づきをメモすることで、自分のデータベースができ、「気づく人」になれる

この手帳のもう一つの大きな特徴は、毎日の気づきや気になった数字を書き込むことで、自分だけのデータベースをつくっていけることです。みなさんは、毎日の生活の中で新聞を読んだり、街を歩いたりしながら、いろんなことに気づいていると思います。しかし、多くの方は、残念ながら、それを「書き留める」という習慣を持っていません。それでは、せっかくの気づきを忘れてしまうことにもなりかねないのです。そうならないためには、気づいたことをメモして、ときどき見返すという習慣が大切です。また、それを見返すことを繰り返せば、自分の頭のデータベースが確実に蓄積、整理されていきます。メモすることと見返すことを習慣づけられれば、みなさんの実力は間違いなく上がっていくでしょう。

過去を振り返ることも大切

わたしは、毎年この手帳を使いはじめるときに、前年の手帳を見て振り返りを行います。その際、新しい手帳に前年の自分にとっての「10大ニュース」を書き込んでいたのですが、これがなかなかおもしろいので、この2018年版から「前年の10大ニュース」を書き込む欄を設けました。このように、まず振り返ることが大切です。自分の過去もです。そのために、この手帳には「人生のたなおろしシート」や「過去年表」がついています。みなさんも、仕事や健康、家族、友人、信条などのたなおろしをぜひ行ってください。「過去年表」には、歴史的な出来事がすでに記載されていますが、そこにご自分のイベントを入れてみてください。みなさん自身、いかに多くのことを行ってきたか分かると思います。過去を振り返れば、感謝の気持ちも持てるというものです。さらに、巻末にはこの20年分の「経済指標」も掲載しています。過去の経済状況が分かりますので、参考にしてみてください。

毎日の時間と同様に、未来もコントロールできるようになれればいいですね。日々の業務を確実にこなしながら、そして「なれる最高の自分」を意識しながら、夢に向かってその準備も行っていければ最高です。夢に向かって小さな目標を確実にクリアしていけば、だれでも夢を実現することができます。最初は漠然としていた夢でも、よりクリアになっていき、最終的には大きな夢に到達することができます。つまり、「なれる最高の自分」になれるのです。

この手帳には、「未来年表」も入っていますので、ぜひご自分の未来をイメージしてみてください。「なれる最高の自分」を、です(そのためには、今年の「なれる最高の自分」を考えるのでしたね)。そして、今年の「なれる最高の自分」の延長線上に、どういう「なれる最高の自分」があるのかを考えてみてください。

みなさんがこの手帳を使って「なれる最高の自分」になることができ、幸せな人生を送っていただければ、わたしとしてこれ以上の喜びはありません。

(なお、この手帳と一緒に 『どんな時代もサバイバルする人の「時間力」養成講座』 も参考にしてください。)

小宮一慶

プロフィール

経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問のほか、名古屋大学客員教授も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。京都大学法学部卒業後、東京銀行入行。米国ダートマス大学タック経営大学院留学、MBA取得。その後、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。後に、日本福祉サービス(現セントケア)を経て、1996年、独立し、現在に至る。企業規模、業種を超えた「経営の原理原則」をもとに、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年100回以上講演を行う。経済指標を用いた講演には定評がある。自他ともに認める数字オタク、乗り物オタクでもある。

『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『社長の心得』『ビジネスマンのための最新「数字力」養成講座』(ディスカヴァー)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(東洋経済新報社)など、著書は130冊を超え、現在も経済誌等に連載を抱えるほか、「ちちんぷいぷい」(毎日放送)など、関西では複数のTV番組にレギュラー出演中。経済トピックスのコメンテーターも務める。