Discover 手帳 2018

著者からのメッセージ

もしこの世界に「暦」というものがなかったら、私たちの生活はどうなってしまうのでしょう。「1年」もなければ「ひと月」「1週間」という区切りもない……。朝が来て夜を迎え、また朝が来るだけの繰り返しの毎日。新年に気持ちを新たにし、誕生日を心待ちにすることもなくなり、生きる気力も失って無為に過ごしてしまうに違いありません。

「暦」=カレンダーは、季節を肌で感じ、「特別な日」に心を躍らせ、1年という区切りに気持ちを新たにするものです。人間は大昔から天体の動きをもとに「暦」を発達させてきました。現在では「太陽」の動きを基準にして、1年を365日とするグレゴリオ暦(新暦)が世界の主流となっていますが、少し前までは(日本では明治5年に改暦)、月の満ち欠けをもとに1ヵ月を定める暦が、世界のいたるところで広く使われていました。

月をもっと身近に感じていたい。2003年にサハラ砂漠で地平線に昇る満月を見たとき、この手帳を作ることを思いつきました。毎日の月の満ち欠けが、ひと目でわかったら便利、さらにその日の月の星座が記されていたら、行動を起こす際のヒントにもなる…。できればデザインが可愛くてセンスがよく、毎日持ち歩ける手帳タイプのダイアリーを作りたい。そんな思いが実現してできたのが『MOON BOOK』です。月日は流れて最初の年から15年目に当たる『MOON BOOK 2018』が完成しました。

『MOON BOOK』を作り始めてから、ますます月の満ち欠けや新月の夜空の静寂、そして満月の晩の華やかさに魅せられるようになりました。新月が持つ不思議な力について書いた拙著『ムーン・マジック』(KKベストセラーズ刊)をなぞり、新月の日に自分の無意識と対話し、自分の夢や願いを明確にしていくというアプローチも続けています。

今年もいろんな場所で月を眺め、さまざまなシチュエーションで月と戯れる機会を得ました。夜空に月を発見する瞬間は、日常の意識から、どこか別の次元へとワープする特別な瞬間です。ただそこに、視線の先に月がある……。それだけのことなのに、心に明かりが灯り、喜びが芽生えるのです。 大地を明るく照らす太陽が沈むと、月や星の時間が始まります。都会の空で月を眺めるのもいいけど、私はときどき満月や新月といった「特別な月の配置」を選んでサハラ砂漠に出かけます。砂漠が創り出す圧倒的な静寂の中で白銀に輝く月の光を浴びると、心が高揚してくるのです。

太古の人々は夜ごと月の運行を観察して、天体と自然現象や人間との関わりを研究したと言われています。でも私には、それが単に研究のためだけだったとは思えないのです。夜空に浮かび上がる月は幻想的で美しく、眺めているだけで不思議な気分にとらわれる、そんな圧倒的な存在だったのでしょう。

占星術では、月は私たちの気分や感情に影響を与える天体だと言われます。また、古い文献には「月が牡羊座を運行しているときは、頭の手術は避ける」などと書かれており、月の動きが私たちの肉体とも連動していることを暗示しています。また昔の人々は、月が潮の満ち干や天候、女性の月経周期、植物の成長、生物の行動や産卵などに関係があることを知っていました。

なぜ私たちはこんなに「月」に心惹かれるのでしょう。当初は『MOON BOOK』がこのようなロングセラーになるとは、夢にも思っていませんでした。年を追うごとに東京や福岡、大阪などで行う講演やサイン会で出会う人が増え、多くの方々に支えられていると実感します。SNSなどを通じて多くの励ましや共感をいただき、「月」を通じて読者の方々とつながる喜びはひとしおです。年末にはイタリアのミラノで月とワインのイベントを行い、帰国後は東京・足立区の「ギャラクシティ」内のプラネタリウムで講演をさせていただくのも定番となりました。

いつも私を支えてくださる読者のみなさんと、世界のどこかで同じ月を眺めながら、私は『MOON BOOK』を書き続けていこうと思います。今まで愛用してくださった方も、今年初めて手に取る方も、どうぞこの一冊と共に2018年を有意義に、そして健やかに過ごしてほしいと思います。

世の中全体が「不寛容」になり、怒りや負の感情を抑えられない人が増えています。理由もなく理不尽な目に遭うこともあるでしょう。そんなとき、ふと夜空を見上げると月が輝いている。今、自分が眺めている月を、世界のどこかで同じように見上げている人がいる……。そう思うと、波立つ心にいつしか静けさが甦り、"誰かとつながっている"という小さな喜びが芽生えます。

『MOON BOOK 2018』は、月の満ち欠けに合わせた日々の生活のヒントに加え、私の専門である占星術から見た「2018年の展望」と、さらに月を通じてほかの惑星についても学べるコラムを盛り込みました。この手帳をキッカケに、月を眺める回数が増え、月と語らい、月に癒される機会が増えることを祈ります。世界中の月を愛する"月族"たちに、月と戯れる"子供の心"を失わないあなたに、この『MOON BOOK 2018』を捧げます。

岡本翔子

プロフィール

心理占星学研究家。ロンドンにある英国占星学協会で、心理学をベースにした占星術を学ぶ。英国占星学協会会員。占星術と料理、コスメ、旅などを組み合わせたコラムを『CREA』『美ST』『ESSE』『料理通信』などの雑誌連載を中心に執筆。また『完全版心理占星学入門』(アスペクト)、『「月のリズム」で夢をかなえる ムーン・マジック』(KKベストセラーズ)、『占星学』リズ・グリーン著(青土社、鏡リュウジ共訳)、『月のリズムで暮らす本』『月の大事典』テレサ・ムーリー著(ヴィレッジブックス、監訳)、『ハーブ占星術』エリザベス・ブルーク著(東京堂出版、翻訳・監修)など、著書・訳書多数。月の満ち欠けカレンダーを記し、月のリズムを生活に生かすヒントが満載の手帳『MOON BOOK』が毎年好評。また、ウェブマガジン『CREA WEB』で『岡本翔子の日めくり Moon Calendar』を連載。岡本翔子「Yahoo ! 占い監修サイト」なども。いずれも数多くのファンを得ている。モロッコの砂漠で観る月に魅せられ、訪れること十数回。2010年より不定期に「三越旅行」や「風の旅行社」といった旅行会社と「月の砂漠ツアー」を行っている。