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[電子書籍]いま哲学に何ができるのか?

[電子書籍]いま哲学に何ができるのか?

電子書籍 What Philosophy Can Do
価格: 2,000円(税込)
フォーマット
紙の書籍
電子書籍
紙+電子書籍セット
価格
2,700円
2,000円
3,700円
個数:
  • メーカーディスカヴァー
  • 発売日2016.8.10
  • ISBN978-4-7993-1940-6

商品概要

哲学は、思想・政治・経済・文化の発展に何をもたらしてきたのか? 今後、何をもたらしうるのか? 社会に、そして、わたしたちの未来に。ノートルダム大学哲学科教授にして The New York Times の人気コラムニストの著者が、政治・科学・宗教・資本主義 etc. を題材に、21世紀にふさわしい哲学の使いみちを披露する。

商品説明

かつては哲学の範疇にあった問いに科学が答えを出しはじめた今、哲学はもうその役目を終えてしまったのだろうか?

第1章「政策論争は不毛か?」では、すぐれた議論を行う方法を示すための事例として政策論争を取り上げる。ここで示された方法は、ほかの章でも頻繁に使うことになる。

続く6つの章は、今日の社会でもっとも強大な力といえる、科学、宗教、資本主義をテーマに取り上げる。それぞれについて、関連する哲学的思考のツールを使って批判的に検討していく。ここでの「批判的」というのは、否定的な批判とか、論駁するという意味ではなく、その価値と限界をていねいに評価するという意味だ。

第2章「科学の取扱説明書」では、科学的主張を評価するときに重要となる、論理的原則に着目する。

第3章「科学の限界」では、科学者が関心を寄せる哲学的な問題を取り上げ、そうした問題を論証するにあたり、哲学の知見を用いない場合に生じる問題を紹介する。

第4章「科学にもとづく無神論」では、さらに高度な哲学的省察に移り、宗教哲学の中心となる論点「神の存在を信じることは理にかなっているか」について、かなりくわしく論じる。ここでは、ある哲学的見解に対するくわしい分析や批評の方法を見ていくことになる。

第5章「宗教的不可知論」は、宗教的信念は合理的であるという見解を展開し、それを擁護する作業に移る。この章でわたしは自分の見解を述べるが、その目的は、哲学論争の内容を例示するために必要となる哲学的ツールを提供することである。この点はとくに強調しておきたい。

第6章「幸福、仕事、資本主義」と第7章「資本主義社会における教育」では、幸福の本質、仕事の価値、資本主義の道徳性、教育の目的について論じる。とても難しく思えるテーマかもしれない。ここでの議論では、先ほどあげたテーマがお互いに関連するものであり、すべてを結びつけることでよりよいくらしに必要な見取り図が描けることを示していく。

続く2つの章は方向性をがらりと変える。どちらの章も、具体的な社会問題に対して、哲学がどのように貢献できるかを示すものだ。

第8章「アートの価値とは?」では現代アートの価値を、第9章「人工妊娠中絶は殺人か?」では堕胎の道徳性を取り上げる。この2つの章を読めば、学術的哲学者たちが交わす議論とはどのようなものか、哲学者の専門的知識が、社会問題を議論するなんらかの助けになるかがわかるだろう。

最後の第10章「哲学にできること」は、哲学の歴史上重要な節目について考え、哲学的思考全体を概観する。そして、20世紀のアメリカ人哲学者ウィリアム・セラーズが提唱した自明な世界像(日常的な客体の世界)と科学的世界像(分子と原子の世界)の区別を用いることで、現代思想における哲学の役割を明確にする。
(「序文」より)

目次

第1章 政策論争は不毛か?
 議論が議論にならないとき
 善意解釈の原則
 関連論拠の原則
 確信と議論の限界
 意見の不一致と転向
 認識同等者との意見の不一致という難題
 議論の価値とは?

第2章 科学の取扱説明書
 予測成否の原則
 相関関係の研究とその限界
 研究室と現実社会
 「ここでうまくいった」と「あそこでもうまくいく」のギャップ
 根拠にもとづく公共政策
 気候科学
 可能性とその対価

第3章 科学の限界
 意識と脳
 メアリーとゾンビ
  色覚異常の神経科学者
  自分と瓜二つのゾンビ
 神経科学と自由意志
 幸福と道徳の哲学
 論証の価値
 憂鬱と精神医学の限界
 無の物理学

第4章 科学にもとづく無神論
 ドーキンスによる有神論批判
 ドーキンスの無神論
  議論なき議論
  宇宙論的議論
  議論なき議論の失敗
 ドーキンスによる進化論的議論
 複雑性議論
 悪の問題
 延命する有神論

第5章 宗教的不可知論
 神の単純性と必然性
 悪と全知の神
 不可知論?
 哲学者が神を信じるとき
  魅力的な生き方
  宗教体験
  形而上学的議論と歴史的議論
 信仰を支持する主張
 知識なき信念
 不可知論者の宗教
 宗教と政治

第6章 幸福、仕事、資本主義
 資本主義
 幸福
 仕事
 資本主義の問題点
 リベラル派の反対論
 資本主義を再考する
 なにをすべきか?
 民主的教育

第7章 資本主義社会における教育
 ある問題
 大学の存在意義
 手段としての教育
 商品としての教育
  教えることの対象
 試験の役割
 教えることは科学か、技能(アート)か

第8章 アートの価値とは?
 アートとしてのブリロ・ボックス
 モーツァルトはビートルズよりもすぐれているか?
 アート、愛、道徳
 前衛芸術(アヴァンギャルドアート)と大量芸術(マスアート)

第9章 人工妊娠中絶は殺人か?
 生命尊重論と選択尊重論
 マクマハンの選択尊重論
 トムソンの選択尊重論
 マーキスの生命尊重論
 堕胎と信仰
 道徳性と法律

第10章 哲学にできること
 哲学にできないこと
 哲学がしてきたこと
 いま哲学にできること

著者からのメッセージ

本書は、わたしがニューヨークタイムズの哲学ブログ、ザ・ストーンにこれまで数年にわたり書いてきたものを一冊にまとめたものである。ブログは、数万の人々に読んでもらえた。ほぼ毎回、数百件の投稿が読者から寄せられ、わたしは思考を明確にし、発展させ、修正することができた。コラムでは時事問題を扱うことが多かったが、本書では、もっと一般性をもたせ、深いところまで切り込んでくわしく述べていきたい。

わたしは、自分の研究分野は大衆哲学だと思っている。大衆哲学とは、学術的哲学者が行う専門的で特殊な研究を社会に適用していく作業だ。学術的哲学は、独自の問題、専門用語、厳密さの基準をもった独特な学問分野だが、大衆哲学は、研究を活用して広く関心をもたれている問題に取り組む。また、一般的な問題を哲学的に論じることは、学術的哲学を人間の世界につなぎ留めることにもなる。人間の世界こそがあらゆる哲学的な問題の出発点であり、回答を判断する際の基準となるものだからだ。 大衆哲学は、俗世間から離れた象牙の塔(アイボリータワー)的な解決策を提示するわけではない。公の場で対等な立場で意見をいい合うことは、人々の理解を促進するだけでなく、哲学的思考そのものが試されることになる。科学理論は、実験室できちんと立証されたものであっても、現実に適用していくことでさらに確固たるものとなり、ときには修正を余儀なくされる。同様に、哲学的思考も、意見を戦わせることで試され、向上していくはずである。

本書で論争の対象となるテーマについて、わたし自身の見解をたびたび前面に打ちだしているが、同時に、多様な論点について言及し、考慮すべき事項を紹介することにも心を砕いたつもりだ。意見を異にする人々がとことん考え抜き、場合によっては自らの見解にさらに磨きをかけ、それを擁護することもできるようにと考えてのことである。本書に登場する議論は、相手を打ち負かすための棍棒ではなく、知的発展のためのツールである。

特定のテーマにのみ関心があるという場合は、その章だけを読んでもいただいてもかまわない。しかし、最初から最後まで順番に読みとおすことで、章を追うごとに、より幅広く、より複雑な哲学的思考の訓練がなされていくことに気づくだろう。世間で関心をもたれているテーマで読者を引き込み、哲学的思考のツールを紹介していく。それがわたしの狙いだ。

推薦メッセージ

本書を読めば、雲のように立ち込めていた独断やナンセンスは瞬く間に消えてなくなり、あらゆる論争の全貌が見えてくるはずだ。強くお薦めする。
サイモン・クリッチリー(The Stone Reader: Modern Philosophy in 133 Arguments の共同編集者)

ガッティングは、哲学的思考がどれほど人生に浸透しているか、それがどれほど価値観や幸福感を豊かにしているかを力強く描いている。
マイケル・ルース(フロリダ州立大学哲学教授)