商品詳細

投資型医療 医療費で国が潰れる前に

投資型医療 医療費で国が潰れる前に

紙の書籍
価格: 1,080円(税込)
フォーマット
紙の書籍
電子書籍
紙+電子書籍セット
価格
1,080円
800円
1,480円
  • メーカーディスカヴァー
  • 発売日2017.9.13
  • ISBN978-4-7993-2162-1
  • ページ数288P
  • サイズ新書判・ソフトカバー /

商品概要

糖尿病に1.2兆円。人工透析に1.6兆円。骨粗鬆症骨折に1兆円―。じつは、健康なあなたも払っています。

商品説明

自分も家族も健康そのもので、医療の世話になることはほとんどない――そうした人たちにとっても、医療の「これから」は他人事ではない。皆保険という制度では、医療を使う使わないに関係なく、保険料を支払わなくてはならないのだ。つまり社会全体の負担はあなたの肩に、いや財布に重くのしかかっている。

医療は病気があるから生まれたのではなく、健康を損なわないために生まれた。医療が病気を治すためにあるのか、病気から守るためにあるのか、この違いは大きい。本書を読んで、ぜひ健康のケアそのものを目的とする「投資型医療」への転換を考えてほしい。それが必ず大きな力となって、やがて社会を変えていくのだ。


* 本書は『僕らが元気で長く生きるのに本当はそんなにお金はかからない』(2013年小社より刊行)を改題・再編集したものです。

目次

はじめに 医療を変えるアクションを生むために

序章 私たちはもう、沈み始めている

あなたの財布から、大事な原資が持ち出されている
保険料を上げるだけでは、増大する医療費をまかなうことはできない
激動の人口構造反転時代をどう生き抜くか
未来へのツケに沈む国
失われた20年のグッドニュース
複数の病をかかえて生きる時代の賢い医療の使い方

第1章 「医療がしていること」と「医療ができること」の大きなギャップ

あなたの二つの運命─糖尿病の場合
 運命1 現状の医療でありがちなケース
 運命2 医療の実力を存分に活用できたケース
ある初老の女性の二つの運命─骨粗鬆症の場合
 運命1 現状の医療でありがちなケース
 運命2 医療の実力を存分に活用できたケース
今の医療は、「健康」をムダにしてしまっている
 糖尿病を治療できているのは患者5人のうち1人
 骨粗鬆症患者1千万人が放置されている
 「治療できる病気」を「治療できている人」は意外ととても少ない
 一つの病気は、一つきりでは終わらない
今の医療は、「お金」をムダにしてしまっている
 1・2兆円かけてたったの5分の1
 人工透析でさらに1・6兆円
 骨粗鬆症性骨折が原因で1兆円

第2章 今、社会が背負っている「医療」の姿

医療費は、どこからやってきて、どこに消えていくのか?
 130万年の医療費!?
 日本の医療保険制度の成り立ち
 医療費は誰が負担しているのか
 医療費には、3千通りの負担の仕方がある
 負担の格差は6倍!?
 医療費はどこに消えた?
 現役時代に健康をケアできなかった高齢者が、リタイアしてから医療費を押し上げている?
 隣のメタボの医療費も、あなたが支払っている

第3章 なぜ健康とお金をムダにしてしまっているのか?

「トラブルシューティング型医療」という罠
 病気になるのを待たないと、医療が始まらない
 大きな差を生む小さな打ち手を打たない
 「トラブルシューティング型医療」が、健康とお金をムダにしている
 医療業界の基本構造とプレイヤー
 「支払者」という存在、保険診療という枠組み
「トラブルシューティング型医療」を支え続ける仕組みの正体
 医療のメニューに、「病気の治療」しか入れない
 医療の質を高めても、ご褒美がもらえない
 医療費のムダをなくすことを促進していない
 「分かち合い」という名の、責任の所在そのものの不在
 「治療にフォーカスした医療の増産」が目的だった時代の制度設計
「トラブルシューティング型医療」を支え続けるプレイヤーの実態
 受益者─医者がいいようにしてくれる、という幻想
 支払者─金はなくともケンカはしない
 提供者─崖の下で待つ医療
 開発者─「治療」というニーズをひたすら追い続ける
 政府─バケツの中の水の分け方の調整に奔走する

第4章 医療の実力を発揮させるための二つの基本

基本1 医療の三つの宿命的難しさを知る
 「情報の非対称性」という医療の宿命
 「不確実性」という医療の宿命
 「アウトカム測定の難しさ」という医療の宿命
基本2 マネジメントをツールとして賢く使いこなす
 マネジメントの欠如が今の医療を生んだ
 まずは、手段の目的化から脱してスタートラインに立つ
 明確な目的を打ち立て、共有する
 目的とスローガンの間の深い溝
 「チーム・ヘルスケア」が最強になる、機能的な役割分担と連係を目指す
 プレイヤー同士の切磋琢磨が、チーム力を劇的に引き上げる

第5章 「投資型医療」で、「皆が長く元気で生きられる、持続可能な社会」を目指そう!

これからの医療の目的は、「治療」や「延命」ではなく「健康」だ
 人にとっても社会にとっても幸せなのは、「病気にならない」こと
 究極のビジョンは、「皆が長く元気で生きられる、持続可能な社会」
 「健康のケア」がゴールの医療
 ケア×マネジメントで、新たな医療をイノベートする
 「投資型医療」とは何か?
 投資型医療は、健康にすればするほどご褒美がもらえる医療
 すべてのプレイヤーのミッションは、「医療(ケア)の価値」を最大化すること
 価値を向上させる切磋琢磨が、ビジョンを現実のものにする
 アウトカム測定で、切磋琢磨を飛躍的に加速させる。
投資型医療なら、「皆が長く元気で生きられる、持続可能な社会」を実現できる
 「投資型医療」=「今の医療」+「予防医療」ではない
 いい医療は安い
 投資型医療は、企業にとってもリターンがある
 投資型医療なら、「皆が長く元気に生きられる、持続可能な社会」が実現できる

第6章 「投資型医療」を実現するための七つの提言

提言1 社会全体でイノベーションを促進しよう
 イノベーティブに価値の向上に挑もう!
 「見える化」と「インセンティブ」で、イノベーションを促そう!
提言2 病気にならない、病気にさせないための投資をしよう
 チーム・ヘルスケアの一員として、自ら健康に投資しよう!
 インセンティブで投資を引き出そう!
 医療費の1%を投資へ。できるところから始めよう!
提言3 開かれた医療でケアの価値を追求しよう
 「病院イコール病人が行くところ」という固定観念を脱しよう!
提言4 情報の集約と開示をしよう
 アウトカム測定が投資型医療の指針となる
 よりよい医療を選べる「ベストアクセス」を目指そう!
提言5 資源の最適再配置をしよう
 「治療から健康のケアへ」「提供から協働へ」「病院から地域へ」─三つのパラダイムシフトを実現しよう!
 受益者は、自らを重要なプレイヤーと認識し、医療にコミットしよう!
 支払者は、ケアの価値を向上させる牽引役となろう!
提言6 政策立案と合意形成のプロセスを進化させよう
 政策立案の担当者は、既成の枠を超え、主体的に動こう!
 問題提起のやり方を変えよう!
提言7 Small-Win(小さな成功)を拡げよう
 ネットワークを活かし、小さな力を大きなうねりに変えよう!
 小さなトライアル・アンド・エラーを支援しよう!

あとがき 自分の足で立つために
参考文献

著者からのメッセージ

このまま持ちこたえることができるのか─この問題意識から、「投資型医療」というこの本のコンセプトを掲げることとした。つまり、医療界を構成するさまざまなプレイヤーが、互いの責任を自覚し、緊張感を持って、能動的な役割を果たすことが、今こそ必要なのだ、と。

もとより、医療のテーマは難しい。コストカット論の餌食にすることや、数少ない「成長分野」として、流行もののように祭り上げることは簡単だ。しかし、医療の中心には人の命、生活という不可逆的な要素が厳然と存在している。軽快な議論よりむしろ重心の低い、長い目の議論が必要である。

他方で、本文中にもあったが、医療改革を叫ぶ人々はおもに健康な人々で、実際に医療の力で生きている人々は声を挙げる余裕がないことも多い。高名な医学部の教授は政策決定に参加することができても、24時間めいっぱい、地域の医療をからだを張って守っている医療提供者たちは、声を挙げる余裕すらないことも忘れてはならない。

こうしたアンビバレンスに満ちた医療のテーマを、少しでも未来志向のものとして考える嚆矢になればと、本書が企画された。

ここで私たちが伝えたかったことは、単に予防に力を入れようとか、財源配分を適正化しようといったことにとどまらない。より本質的に、私たち一人ひとりが、医療界に直接関わる方も、そうでない方も、自分のこととして医療の問題を考え、自分のできる範囲で自分の健康を守り、心身とも健やかに毎日を送ることで、それぞれの人生を能動的にデザインし、潜在的な可能性を十分発揮できる、すなわち「自分の足で立つ」ことのできる社会の基盤をつくっていこう、ということだ。

それが、私たち一人ひとりの“尊厳”を大事にし、どんな境遇にあってもプライドを持って一生を生き抜くことができる、その基盤になると信じているからである。
(「あとがき」より)