商品詳細

[紙+電子セット]うつの常識、じつは非常識

[紙+電子セット]うつの常識、じつは非常識

紙+電子
価格: 1,480円(税込)
フォーマット
紙の書籍
電子書籍
紙+電子書籍セット
価格
1,080円
800円
1,480円
    個数:
  • メーカーディスカヴァー
  • 発売日2016.7.13
  • ISBN978-4-7993-1927-7
  • ページ数248P
  • サイズ新書判・並製 /

商品概要

薬は飲まなければいけない? 励ましてはいけない? 何もせず、ただ休め? 「日本で最も薬を出さない」精神科医が説くうつ病最新対処法

商品説明

薬に頼らない方針を打ち出している稀少な大学病院精神科の教授が語る、うつ病人口増大の知られざる背景と、うつにならない方法、そしてうつを治すための生活習慣改善法。

うつに関しては、巷間ささやかれている常識のなかに極論も混ざっている。抗うつ薬の効果、激励禁忌(「励ましてはいけない」)の神話、長期療養の問題などだ。それらのなかには、学界ですでに否定されたもの、時代的な使命を終えたもの、一部の患者にしか妥当しないものなどがある。著者はその点を明らかにするとともに、こころの健康を保つために睡眠時間を確保することの重要性を説く。


(「序章」より)
白衣を着た私の前に坐る人は、口々にうつ、不眠、不安を訴えます。そんなメンタルの不調を訴える人に共通するのは心身の疲弊であり、その背景には例外なく生活習慣の問題が隠れています。生活習慣の問題といっても、それは喫煙でもなければ、食事でもありません。睡眠の絶対的な量が不足しているのです。

目次

まえがき

序章 「都市型うつ」は時代の病

第1章 「都市型うつ」の時代
「鬱病」から「うつ病」へ
あれもこれも「うつ病」
「うつ病100万人時代」への突入
抗うつ薬の新市場として開拓された日本
「うつは心の風邪」か?
“駅前”クリニックというトレンド
精神科が人気の就職先に
薬が無意味な「うつ病」とは?
「都市型うつ」はインテリの病
都市の治療文化を求めて

第2章 睡眠不足が最大の要因
「都市型うつ」の典型例
知識社会の病
都会でサバイバルするには十分な睡眠が不可欠
睡眠不足が常態化した社会
減る睡眠時間、増える通勤時間
国際比較でも日本人は眠っていない
眠らないことを讃えるな
新聞記者こそ「都市型うつ」の教科書
寝不足とは一時的に頭が悪くなること
夜討ち朝駆けの結末
「都市型うつ」になりやすい業種
できる奴ほどよく眠る
じつはたっぷり寝ていたナポレオン
あなたは毎週月曜日、ギリシャから時差ボケ出勤している??
生活習慣から睡眠をはずした旧厚生省
飲んで寝るのは気絶するようなもの
睡眠導入剤は睡眠の質を損ねる
特攻隊員も飲まされたドリンク剤
暗すぎる朝、明るすぎる夜
ヒトは夜行性の動物ではない

第3章 うつを予防する7つの方法
「都市型うつ」は病名ではない
「都市型うつ」予防7つの方法1「週50時間睡眠」
「都市型うつ」予防7つの方法2「3日に1度、睡眠負債を返す」
「都市型うつ」予防7つの方法3「定時起床、就床は早めに」
「都市型うつ」予防7つの方法4「30分のハーフタイム」
「都市型うつ」予防7つの方法5「アルコールのコントロール」
「都市型うつ」予防7つの方法6「万歩計で歩数チェック」
「都市型うつ」予防7つの方法7「『睡眠日誌』によるセルフ・マネージメント」

第4章 「薬の出し入れ」ではうつは治らない
精神科医養成システムの欠陥
学会は「うつに薬が効く」という太鼓判を取り下げている
「英語の話せない英語教師」のような精神医学教師たち
薬物療法偏重はこれからも続く
このままでは日本の精神医学界は世界から孤立する
7時間睡眠は疾患によらない健康法の基本
精神科医に「薬に頼るな」は通じない
イデオロギーとしての「十分量・十分期間」
「十分量・十分期間」と“出版バイアス”
「薬のソムリエ」はしょせん「ここ掘れワンワン」
「三タ雨乞い療法」としての薬剤調整
薬が効かない難治性うつ病
薬物を受け入れる側の条件
第一になすべきは生活状況の把握
生活の変化が「うつ」をもたらす
不用意な薬物療法が状態を見えにくくしている
難治性うつ病は治さなくてもいい
適度のストレスは必要

第5章 患者よ、うつと闘え!
「患者よ、うつと闘うな」主義
多剤処方とは薬の多重債務
薬漬けは善意の行動の結果
「うつと闘うな」主義と激励禁忌神話
英語圏ではうつのヒトを “encourage” している
「うつ」は「癒し」だけでは治らない
休職が長いほどよく治る?
業務遂行能力は復職して初めて向上する
家族は患者をどう励ますか?
メディアよ、名医を探すな!
“身たくすほどの名医はありや”

第6章 精神科医よ、薬に頼るな!
なぜ精神科医になったのか?
島崎敏樹著『生きるとは何か』との出会い
杜の都仙台へ
精神科医の闇
島崎敏樹の直弟子に弟子入りする
預言者としての宮本忠雄
タテ社会をヨコに歩く
都市型臨床の原点は順天堂時代
生活習慣病としてのうつ・不眠
獨協医科大学越谷病院に移る
「薬に頼らない治療」で院内の支持を得る
どうぞ越谷へお越しください

あとがき

著者からのメッセージ

本書は、都市に生きる人のこころの健康を論じます。ここでいう都市とは、東京をその典型として、しかし、北海道から沖縄までの日本全体が対象です。

都市の産業構造は圧倒的に第三次産業優位です。それは知的価値に関わるクリエイティブな仕事ですが、反面、時間に追われる、正確さが求められる、人の感情に配慮しなければならないなどの特徴を持ちます。ここに都市特有のストレスがあります。今では、最北の稚内市も、最南端の石垣市も、第三次産業従事者は6割を超えました。日本人のほとんどが都市型のライフスタイルを送り、都市型のストレスにさらされているといえるでしょう。

私は、長年、精神科医の仕事を続けてきました。ここ10年ほどは、主として都市部の患者さんのうつ・不安・不眠を診てきました。その間、年々、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬の処方量が減ってきました。今ではおそらくは、保険診療を行っている日本の精神科医の中で、もっとも処方量の少ない精神科医でしょう(もし、ほかにもおられたらお教えください)。薬の量が少ないわけは、その必要がないからです。別段、私は意地をはって「薬は使わない!」と決心して臨んでいるわけではありません。必要なら使います。でも、実際にはその必要な場合というのは、けっして多くはありません。

薬を使わなくてすんでいるのは、都市型うつの病理の本質が心身の疲弊であり、それは薬を使えば治るようなものではないからです。むしろ、疲弊を解消する睡眠をいかにしてとっていただくかの問題だけなのです。いかにして24時間のなかに7時間の睡眠を確保するかの問題だけです。

もちろん、都市生活は忙しさに満ちています。その渦中にあって、7時間の睡眠を確保することがいかに難しいかはわかります。しかし、患者さんと話し合って、1日のスケジュール、1週間のスケジュールを伺って、どうにかして週合計50時間ほどの睡眠を確保すること。そのことさえ実現できれば、患者さんの側で自然と治っていく場合のほうが多いのです。睡眠さえ確保できれば、心身の疲弊は解消します。あとは、心身の活力の回復に足を引っ張る薬剤は、さっさと切ったほうがいいのです。薬を減らして、いっそのことやめてしまった方が、よほどきれいに治ります。

本書は、うつに悩む都会人の皆さんのために書きました。本来のあなたを取り戻すために、本書が少しでもお役に立てることを願ってやみません。