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[紙+電子セット]何が戦争を止めるのか

[紙+電子セット]何が戦争を止めるのか

紙+電子
価格: 1,923円(税込)
フォーマット
紙の書籍
電子書籍
紙+電子書籍セット
価格
1,404円
1,040円
1,923円
    個数:
  • メーカーディスカヴァー
  • 発売日2016.9.9
  • ISBN978-4-7993-1966-6
  • ページ数232P
  • サイズ小B6判・並製 /

商品概要

「戦争は悪」だけでは、戦争は止められない。戦争のリアルを知る海上自衛隊部隊指揮官経験者が対立する2つの立場(リベラリズム/リアリズム)をもとに緊急提言!

商品説明

今、世界は戦争に向かいつつあります。私は本書のはじめに、あえてそうはっきりお伝えしようと思います。(「はじめに」より)

戦争に対する立場には、大きく分けて2種類の立場が存在します。一つは、「国家は互いに協調すべき」と考える〈リベラリズム〉。もう一つは、「国際社会はパワーゲームだ」と考える〈リアリズム〉。この対立する2つの立場のいずれもが、戦争それ自体を望まないにもかかわらず、残念ながら戦争を止めることはできないと、著者は指摘します。

では、何が戦争を止めるのか。現場(海上自衛隊部隊指揮官)と研究(東京財団研究員・制作プロデューサー)の両方を知り尽くした著者の提言「日本だからこそできること」には、戦争のない世界を実現するために、これから日本が向かうべき方向が示されています。

目次

はじめに

第1章 世界中で「理想の崩壊」が起こっている
1 EUが苦しむ理想と現実の「ギャップ」
 EUの本質とは何か
 「利得を最大化する共同体」としてのEU
 「理想の共同体」としてのEU
 矛盾に直面するヨーロッパの理想主義
 ギリシャ経済危機と英国のEU離脱問題は何を表しているか
2 トランプ氏の躍進から見えてくる米国の「ひずみ」
 現実にNOを突きつけた米国社会
 「自由」という理想と「格差」という現実
 口にできない米国民の本音
 「人種差別主義者」トランプ氏が煽る不満
3 直視を避け続ける日本の「リアル」
 日本の難民報道は真実を伝えているか?
 難民受け入れを拒否し続けてきた日本
 日本の本音の「隠れ蓑」技能実習制度
4 国家は理想と現実の間で嘘をつく
 国家は何のためにあるか?
 「本音」を嫌う国民が政府に嘘をつかせる
 すべての戦争は「自衛のため」に行われた

第2章 リベラリズムとその限界
1 リベラリズムとは何か?
 「国家は協力し合うことが可能」と信じるのがリベラリズム
 相互依存で戦争は避けられるのか?
 不満を生む経済相互依存
 「囚人」の学習で戦争は避けられるのか?
 国際関係で「未来の影」が難しい理由
 制度をつくれば戦争は避けられるか?
 「共同体の体系」はなぜ難しいか
2 リベラリズムは必然的に「悪者」をつくり出す
 正義とは本当に自明なのか?
 国に善悪はあるのか?
 「反則」の常習犯だった日本史のヒーロー

第3章 リアリズムとその限界
1 必然だった「米中対峙」
 なぜリアリズムが必要なのか?
 「緊張の高まり」が必然である理由
 潜在覇権国のオフェンシブ・リアリズム
 「自国に有利な秩序をつくりたい」という誘惑
 既存のルールを書き換えたいという欲求
 それでも、米中は軍事衝突を回避したい
 恐怖心が生み出す「誰も望まない戦争」

2 「構造的緊張」と「戦争」の間
 日本のすぐ近くに軍艦を出したロシアと中国
 「遅れてきた客」である中国が抱く不満
 かつての「遅れてきた客」が起こした軍事衝突
 覇権の「引き継ぎ」が軍事衝突を回避
 リアリズムでは説明できない戦後日本のふるまい

第4章 柔らかいリアリズムへ
1 伝統的リアリズムの限界
 際限なき現状追認
 軍事力以外の「パワー」
 リアリズムには主観が含まれている
2 リアリズムを本当に使えるものにするために
 「認識」という主観を取り入れる
 経済的不満が国を戦争に向かわせる
 国内に経済的不満を抱える国々
 「不満」は時間軸で考える

第5章 理想論抜きで戦争を止める方法
1 戦争はオプションのひとつにすぎない
 戦争とは何か?
 戦争は政治的手段として適切か?
 議論だけでは戦争が避けられない理由
2 「欲望の体系」で戦争を止める
 「戦争したら損」では根本的な解決にならない
 「戦争をしてはならない」ではなく「戦争しない方が得だ」へ
 国家の「認識」をどう理論化するか
 戦争をタブー視することは日本のためにならない
 日本だからこそできること

おわりに

参考文献

著者からのメッセージ

今、世界は戦争に向かいつつあります。私は本書のはじめに、あえてそうはっきりお伝えしようと思います。

「そんなのは嘘だ。街を歩いていても、戦争の気配なんて感じられないじゃないか」
「そうやって不安を煽るような言説は信用できない」
「何を根拠にそんなことを言うんだ」

みなさんの中には、そう思われる方も多いかもしれません。

私は、防衛大を卒業し、海上自衛隊で実際にパイロットとして勤務し、北京の日本大使館で防衛駐在官を務め、防衛省の防衛研究所にて研究者となったのち、外交・安全保障を専門に研究を重ねてきました。「自衛官」として防衛の最前線に身を置き、「研究者」として学問の世界にも携わった立場から総合的に判断して、今、世界のいたるところで「戦争」というオプションが行使されやすい状況が整いつつあります。

米中が軍事衝突すれば、他国を巻き込んだ大規模な戦争に発展する可能性があります。もちろん日本も例外ではありません。この米中戦争をどうしたら避けることができるのか、私たちは考える必要があります。そして、それをさらに一般化して、どうしたら戦争を防げるかを考える必要があるのです。

「平和安全法制」の議論の際、「政府が勝手に戦争を始める」という反対派のスローガンに対しても、私は違和感を覚えました(念のために申し上げると、反対すること自体は個人の自由です)。「政府が勝手に戦争を始める」という言い方は、国民として日本の安全保障政策への関与を放棄している無責任な表現だからです。「政府が戦争を始めるかどうか」を決めるのは、ほかでもない私たち国民だからです。

日本が、どのように国際社会と協力し、あるいは協力しないのか、その判断を政府に丸投げして良いはずがありません。国民一人一人が考えなければならないのです。政府が国民の意志と異なる政策をとったときには、選挙でその政権に対する信任を否定しなければなりません。安全保障について議論をするには、「安全保障とは何か」を理解する必要があります。本書は戦争で勝つための戦略論を書いた本ではありません。「どのようにすれば戦争を避けられるのか」をみなさんと考えるための本です。

本書では、「平和安全法制」に賛成とも反対とも言いません。それをみなさん自身に考えていただくために、戦争の「本質」とは何なのかを、一緒に考えていきたいのです。
(「はじめに」より)