商品詳細
[紙+電子セット]ニュースがよくわかる生命科学超入門
紙+電子- メーカー:ディスカヴァー
- 発売日:2014.5.21
- ISBN:978-4-7993-1490-6
- ページ数:224P
- サイズ:新書判・並製 /
商品概要
iPS細胞、ES細胞、STAP細胞。あなたは、本当にわかっていますか? 再生医療、創薬、若返り? 生命科学のキホンの「キ」がわかる超入門書
商品説明
STAP細胞騒動は、私たちには科学リテラシーが足りないという事実を浮き彫りにした。生命科学の本質をしっかり知っていれば、何が問題となっていて、何を議論すべきなのか、明確に理解できたはずなのだ。
わからないからこそ、知りたい! この一連のニュースによって、夢の技術といわれる「万能細胞」とはいったいどういうモノなのか、あらためて興味・関心が高まりつつあるといえるだろう。
再生医療や創薬の鍵をにぎるといわれるiPS細胞やES細胞とはなんなのか? 万能細胞について理解を深めるとともに、「クローンとは何か?」「DNAのはたらきとは?」といった、生命科学のキホンの「キ」がまるごとわかる「超」入門書。
(「はしがき」より)
「幹細胞」という専門的な言葉がテレビや新聞を賑わしている。iPS細胞、STAP細胞、ES細胞などというときは、とくに「iPS幹細胞」ということは少ないが、いずれも幹細胞の話である。しかし、iPS細胞、STAP細胞、ES細胞がいったいどういったものなのか、はっきりと理解できている方は少ないのではないだろうか。
では、その幹細胞とはいったい何だろうか。ふつうの細胞とは何がどう違うのだろうか。多くの方々が、ふと、そんな疑問を抱いておられるのではなかろうか。高校で生物を取られた方も、生殖細胞や神経細胞、筋肉細胞については習っただろうが、幹細胞については深くは説明を受けていないのではなかろうか。残念なことにニュースでは次々に表面的な事象がセンセーショナルに報道されるだけで、このような疑問にはなかなか答えてくれない。説明の時間もないためか、「幹細胞とは、すべての細胞に変化できる細胞」である、という一言で話を進めてしまう。
これでは、幹細胞の科学的な話理解などできるものではない。もったいない話である。幹細胞の話題の中には細胞の本質、さらには生命の本質に迫る問題が山のように絡んでいて、知れば知るほどおもしろい話が山のようにあるからだ。
- 目次
夢の「万能細胞」をキホンから理解するために
第1部 細胞と幹細胞の超キホン
第1章 細胞はいかにして幹細胞となるか
1 生命とは何だろうか?
2 生命体と非生命体を分かつもの
3 生殖細胞と体細胞を区分しておこう
4 DNA情報は膨大な図書館の蔵書整理と同じ
コラム 「タマゴが先か、ニワトリが先か」論争に終止符?
5 体細胞分裂──母細胞から娘細胞へ
6 幹細胞、誕生す!
7 細胞の運命とエピジェネティクス
8 分化の道は一方通行、後戻りはできない!
9 細胞を世襲化する「禁断の書」
10 ニッチに居続ける幹細胞
第2章 ES細胞、そしてiPS細胞へ
1 人の手による「万能細胞づくり」は可能か?
2 「ES細胞」という名の万能細胞
3 ES細胞のつくり方は?
4 ES細胞に立ちはだかる壁
5 あえて「万能」を名乗らないiPS細胞
6 細胞を初期化させる「因子」を探せ!
7 ガン細胞も幹細胞だった
8 iPS細胞づくりの秒進分歩
9 iPS細胞が狙う3つのターゲット
コラム 山中教授が医学を志した2つのきっかけ
第2章補 「STAP細胞」というアプローチ
10 植物はカケラからでも生長することに着目
11 雨よりも弱い酸性でSTAP細胞はできる
12 ギュッと刺激するとSTAP細胞になる?
13 STAPはミューズ細胞の見誤りではないのか?
14 「STAP細胞」「STAP幹細胞」との違いは何か
第3章 再生医療はどう行われているのか
1 臓器移植では避けられない拒絶反応
2 機械式臓器には免疫反応はないが
3 自分の臓器を移植するクローン臓器
4 自分の臓器を自分でつくる再生医療
5 すでに成功している再生医療とは?
6 結果が得られているiPSの再生医療
7 患者個人に合わせたテーラーメード薬剤開発
第4章 遺伝子工学と人工幹細胞
1 遺伝子工学とは何か?
2 「クローン」の2種類のつくり方
3 「クローン」技術は何が問題か
コラム 「ドリー」というネーミング
4 「細胞融合」は自然界でも起きる現象
5 「交配」は遺伝子組み換えの元祖
6 遺伝子組み換えの安全性
7 遺伝子治療はどのように行われるか
8 人工幹細胞による「完璧なクローン」とは
9 それは神の領域か?
第2部 細胞と遺伝・DNAの超キホン
第5章 すべてのキホンは「細胞」から始まる
1 生物の「細胞」は2種類に分けられる
2 進化した細胞
3 細胞の構造を見ておこう
4 染色体とDNAの関係を知っていますか?
5 細胞膜は「防御壁+化学反応」の場
6 分子膜を医療に使う
第6章 DNAとRNAのふしぎな関係
1 生殖細胞のDNAが体細胞の半分なわけ
2 細胞分裂──DNAとRNAは何をしている?
3 タンパク質こそ生命の元締め
4 DNAの二重らせん構造は2メートル!
5 DNAの分裂とコピーづくり
6 DNAの「遺伝子部分」をRNAに転写
コラム 「二重らせん発見!」の裏側
第7章 生物はいかにして発生し、老化するのか
1 「胚」が生まれ、生体が「発生」する
2 ジャンクDNAが分化を指示していた
3 「細胞周期」という予定表
コラム 体内時計が体の中にある?
4 細胞は分裂回数を記憶している
5 周囲を巻き込む細胞死、迷惑をかけない細胞死
第8章 研究論文の評価とモラル
1 なぜ、科学者は研究をするのか
2 研究の価値は「第三者」が判断
3 いざ、論文を「ジャーナル」に投稿する
4 審査は「科学者性善説」で行われる
5 「掲載許可」と「掲載却下」の天国と地獄
6 研究費の工面に苦労
7 成果が出れば「特許」獲得へ
8 データ捏造はなぜ起きるのか
9 「再現不可能」なとき、それは「事実はなかった」となるか
10 科学の世界での「捏造(ねつぞう)」、法律での「捏造」
11 誤謬があっても誰も責めはしない