Discover 手帳 2017

監修者からのメッセージ

STARプランナーへようこそ!

みなさん、はじめまして。原田隆史です。

「すぐれた人格・人間力を土台に、成果・パフォーマンスを確実に発揮する自立型人間」。その育成を実現するのが、20年にわたる教師生活のなかで私が完成させた「原田メソッド」です。その絶大な効果は多くの企業の経営者の方の関心を呼ぶことになり、教職を辞したのちは、「原田メソッド」をさらに進化させた「自立型セルフマネジメント」を確立し、ユニクロ、カネボウ化粧品、野村證券、中外製薬工業、キリンビールなど、これまで約320社、のべ6 万人のビジネスパーソンをはじめ、プロのスポーツ選手、芸能関係者などさまざまな方々の指導をさせていただいています。そんな「自立型セルフマネジメント」をもっと多くの人たちに、もっと気軽に実践してほしい。そんな私の思いを形にしたのが、このSTARプランナーです。

STARプランナーには、

  1. 「目標達成のモチベーションを高める」目的・目標設定用紙(スタービジョンシート、スターシート)
  2. 毎日書き込むことで「自信を高める」日誌(ジャーナル)
  3. 「成功習慣を身につける」ルーティンチェック表

という、「自立型セルフマネジメント」の3 大ツールをすべて盛り込みました。この手帳に毎日書き込むことで、このメソッドを今日からさっそく実践できます。

原田メソッドの誕生秘話

もともと私は保健体育の教師をしていました。なかでも私の人生を大きく変えたのは、35歳のときに赴任した、大阪市にある公立中学校で過ごした7年間です。私が赴任した当時の学校は、多くの問題を抱えていました。生徒のなかには教師や大人を信用できず、あからさまに敵意をむき出しにし、教室を抜け出したり、犯罪行為に手を染める者もいました。生活自体が乱れていて、まわりからの指導を受け入れない、罪悪感のない様子の生徒もいました。私には生徒指導担当という役割も与えられていましたが、目の前にいる生徒たちは、それまでの教師生活で指導してきた生徒たちとは明らかな違いがありました。

家庭の教育がいきとどかなかったり、養育を放棄されたり、経済的に恵まれないケースもありました。子ども以上に荒れた生活をしている大人たちも珍しくありませんでした。同じ地域に住んでいても、保護者が教育熱心で、家庭が裕福だったり、勉強の成績がよかったりすると近隣の私立中学校に進学する。そんなムードもありました。経済や教育の格差といいますが、それらの影響をもろに受けるのが子どもたちの現実でした。そのような環境から、子どもたちのなかにはすでに自信が極めて低く、元気もない、やる気もない、という状態の者もいました。

どうにかして、彼らを変えなければ! と責任感と使命感に燃えてはいたものの、これまでの教師生活でやってきたのと同じ方法ではとてもうまくいきそうにありません。私は悩み、教育学や心理学の本を片っ端から読んだり、優秀なコーチやトレーナーにつき、さまざまな方法を研究しました。

そんななかで、元気・やる気というものが、そもそもどこから生まれてくるかといえば、それは「未来設定」なのだということを知りました。自分の理想や夢など、なにかしらのゴールを設定してこそ、心のエネルギーが高まり、元気ややる気がみなぎっていく、というのです。

私は「これだ!」と思いました。それまでの13年間の教師生活での経験を振り返ってみても、確かに、明確な目標をもった子どもというのは、いつも生き生きと目を輝かせ、大人が手を貸さなくても、十分なやる気も元気も持ち合わせていた「事実」を思い出したのです。そこで、私はその未来設定、つまり夢づくりや目標設定を徹底的にやらせてみようと決心しました。

ただし、単に夢や目標を設定するだけでは、そのまま枯れてしまう可能性があります。重要なのは、その実現への決意を持続できるような、枯れない夢や目標を描くこと。そこで、コーチングの発想を取り入れ、枯れない夢や目標を設定させるためのフォーマットを考案しました。それが、「原田式長期目的・目標設定用紙」です。それを自身が顧問を務める陸上部の部員たちに一斉に導入したのです。その夢や目標に向かっていく自分のことを、毎日振り返ることができるようにと日誌も書かせることにしました。

そして、それを継続させる取り組みのなかで私はあることに気づいたのです。それは自信というものは、毎日少しずつ高まっていくものなのだ、ということです。

実はそれまで、自信というものは、なにか難しいテーマを実現できたときに倍数的に一気に高まるものだと私は思い込んでいました。だからこそ彼らにはなにか大きなことをやり遂げさせてあげたくて、その方法を必死で考えていたのです。けれども、目の前にいる子どもたちは、日誌に毎日、「今日のよかったこと」「がんばったこと」「陸上部としての成長」を少しずつ書き込んでいくうちに、昨日より今日、今日より明日と、確実に自信を高めていたのです。もちろん、彼らを変えようと心をひとつにした私やまわりの大人たちも、彼らの自信を高める言葉かけなどを日々心がけてはいましたが、それと同時に、彼らは自分で自分のよさに気づき、自信を徐々に高めていったのです。

夢や目標に向かうエネルギーを持続させ、日誌をつけることで毎日少しずつ自信を高めていった子どもたちは、目標設定のプロセスで自分に課していたルーティンがすっかり習慣になったころ、ガラリと変わりました。それは、まるで、シーソーが逆転するかのような変容でした。それまで大会でも結果を残すようなこととは無縁だった陸上部が大躍進を始めたのです。個人競技で13回連続の日本一、約400 校が参加する大阪府大会では12 回連続男子総合優勝、5回連続の男女総合優勝?。それがその後の陸上部の成績です。陸上部には入部希望者が殺到しましたが、陸上部の劇的な変化は、陸上部以外の子どもたちにも伝播していき、学校や地域全体の自信にもつながり、中学校が再生したのです。この現象は教育の奇跡とも呼ばれました。

ちょうどそのころ、OECDが進めている、国際的な学習到達度に関する調査(PIZA)で、さまざまな分野で上位を独占したフィンランドに教育関係者の注目が集まっていました。私もフィンランドに渡り、その教育の視察をしたのですが、そこで重視されていたのも、未来設定と自信を育てることでした。やはり自分のやり方は間違っていないのだ! と私は確信し、少しずつ改良を重ねながら「原田メソッド」を完成させ、さらにそれを「自立型セルフマネジメント」へ進化させていったのです。

心を育てながら成果を出す

「自立型セルフマネジメント」の目的は、成果をあげることだけではありません。たとえば、勉強はできるけれども、いじめに加担する。スポーツだけは得意だけど、ほかのことには無関心。これではダメなのです。私が考える自立とは、「人格という人の土台を自ら成長させながら、結果・パフォーマンスを発揮すること」、つまり、心とパフォーマンスのバランスがとれている理想の状態のことです。もちろん両方が大事であることはこれまでも言われてきたことですが、それまでの教育現場では、心を育てるために「道徳」の時間を設けるなど、心を育てることと勉強などの成果を高めることを別々に行っていました。けれども、「自立型セルフマネジメント」では、パフォーマンス(成果)を高めていくことと、心を育てることを、並行して行います。

  1. 未来を描く → 心を使う
  2. 清掃、奉仕活動、エコ活動 → 心をきれいにする
  3. 日誌や活動を継続する → 心を強くする
  4. 毎日の振り返り → 心を整理する
  5. 感謝の気持ちをもつ → 心を広くする

事実、私が指導していた陸上部でも、日本一という成果をあげる一方で、チームのなかで弱い立場にいる子に対してやさしく接する姿勢が自然と生まれ、当然いじめなども一切起こらなくなりました。お互いを認め合うことでチームのなかの人間関係がとてもなめらかになっていったのです。また、厳しい練習に音をあげることもなく、挫折しても自分の力で立ち直り、私をはじめまわりの人たちに対する感謝の気持ちを素直に口にするようになっていったのも、彼らの心が育っていた証拠だと思います。陸上部躍進の評判を聞きつけ、全国の先生方や、企業の人材育成にたずさわる経営者や幹部たちが次々と見学に訪れましたが、みなさんから絶賛の声をいただいたのは、子どもたちの残した結果だけではなく、そういう子どもたちの学び方の態度や取り組む姿勢についてでした。

「こういう前向きな社員を育てたい!」というたくさんの声を聞き、「自立型人間」こそが社会が求めている人物像であることを私はあらためて強く確信したのです。

なぜ、STARプランナーで、自信が高まるのか

「原田メソッド」が生まれる舞台となった中学校が「問題を抱えていた」時代、子どもたちに決定的に欠如していたのは「未来」と自信でした。不況の影響が生活にまともにあわられる地域の環境に加え、裕福な子や成績のいい子はみんな近隣の私立に行くという状況。そんななかで、自信をもてるのは、よほど心が強い子どもでしょう。多くの子どもは自信がないがゆえに、自分の可能性を信じることもできず、どんどん消極的に、また場合によっては自暴自棄になってしまっていたのです。

いわゆる「伸びる人」と「伸びない人」の差がどこにあるのか。それはまさしく自信の差です。自分に自信が高い人は「こうなりたい!」という自分の未来のビジョンを描くことができます。逆に自信が低い人は「どうせ自分には無理」とそもそも未来を描く初めの段階で立ち止まってしまうのです。目標を達成できたから自信を得るのではなく、自信があるからこそ目標を達成できるということも言えます。自信というものは、とてつもない力を発揮するものなのです。

ただし、根拠のない自信では意味がありません。大切なのは、地に足がついた自信を得ることです。自信は「自分の存在や価値を大切だと感じる気持ちや認知である自己肯定感=自尊感情」と、「自分の能力に対する信頼やその能力を使って問題を解決できることを認知している自己効力感」のふたつが合わさったときに確固たるものになるのです。

心理学のなかに、人のやる気や元気を高めるためのひとつの方法として、「自分で自分のことを認めたりほめたりする」というやり方があります。私が、子どもたちに「今日のよかったこと」「がんばったこと」を毎日書かせたのは、とにかく元気ややる気を自らで高めてほしかったからです。どんな小さなことでもいい、ほめる基準は自分で決めていい、というルールを与えると、子どもたちはひとつふたつと書き始めるようになりました。その内容にすかさず赤ペンを入れ、私がさらにほめてあげると、子どもたちはとてもうれしそうな顔をするのです。それを毎日繰り返すうちに、子どもたちの表情が変わり、発言が変わり、態度や姿勢、そして行動が変わり、さらに気持ちが高まっていくのを目の当たりにしました。私が望んだとおり、元気ややる気がみなぎるようになり、そして自信が高まっていったのです。

また、同じ失敗を繰り返さなくなったのも大きな成果でした。日誌を書いていると、毎週月曜日に必ず遅刻をするとか、週末の午後になると必ずバテるとか、それぞれのリズムに合わせて特定の失敗の波が繰り返し来ている様子がつかめるようになります。すると、それを事前に回避できるようになり、失敗の可能性を減らすことができます。自分が犯しがちなミスを今までのパターンから悟って自ら改善できるようになると、人間というものは大きく成長し、それによってまた自信が高まるのです。ただし、失敗をネガティブに捉えすぎると、後悔ばかりが先に立ち、却って自信を失うことにつながってしまいます。

そこで、失敗に関しては「もし、もう一度、やり直せるなら」と発想を変えてみましょう。少し捉え方を変えるだけで、スムーズに「失敗」と縁切りできて、逆に自信も高まり、さらに改善行動も見つけられるようになります。自分が決めたことを実行することは、自分との約束を守ることです。それは自分を大切に思うことであり、それが自己肯定感を高めるのです。さらにその目標が達成でき、失敗を改善していくことで、自分の能力が高まり、できることが増えていくのを実感することで自己効力感が高まります。その結果チャレンジする機運が起こり、新たな目標に向けて取り組めるようになる。こうして日々の行動が自己肯定感と自己効力感を高め、確たる自信につながっていきます。

STARプランナーでは、日誌欄もスケジュール欄と並行して使用できるよう、よりシンプルで使いやすいフォーマットにアレンジしています。とはいえ、これを毎日書くのか、と思うと、多くの人は面倒だ、と思うでしょう。
実際、私が指導した子どもたちのなかにも最初は消極的な子もいました。

けれども、実際に始めてみると誰しも自分のプラスの変化に気づくようになります。そうなればしめたもの。とにかく最初は3日だけのつもりでよいので、まずは始めてみてください。1日を振り返っても「今日よかったことなんてなにもない」というふうに感じてしまうことがあるかもしれません。けれども、「よかったこと」つまり、自信は日々のあらゆるところに散らばっているのです。「指示どおりに資料を作成できた」「○?○さんの役に立てた」「たまっていたメールの返信をすべてかたづけた」といった小さなことで十分です。STARプランナーを書き始めることで、そういう小さな「よかったこと」をきちんと自覚し、見つけるくせがつき、そのなかから小さな自信を心に蓄えていくことができます。

また、失敗も「もし、もう一度やり直せるなら」という発想で、改善のための失敗だとプラス思考で捉えられるようになります。ひとつひとつは小さなことでも、毎日積み重ねていくことで、揺るぎない、根拠のある自信、地に足がついた大きな自信を得ることができるのです。

さあ、さっそく今日からSTARプランナーで、コツコツと自信を育てていきましょう。毎日積み重ねた確固たる自信は、あなたの想像をはるかに超える大きな力を発揮するはずです!素晴らしい人生にようこそ。始めましょう!

原田隆史 

プロフィール

株式会社原田教育研究所代表取締役社長。一般社団法人JAPANセルフマネジメント協会代表理事。三重県政策アドバイザー、奈良市生徒指導スーパーバイザー、高知市教育アドバイザー、元埼玉県教育委員、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授。奈良教育大学卒業後、大阪市の公立中学校に20年間勤務。生徒の意識改革に尽力することで、問題を抱える教育現場を次々と立て直し、「生活指導の神様」と呼ばれる。勤務3校目の陸上競技部を7年間で13回の日本一に導いたその手腕は、学校教育者のみならず、多くの企業経営者の注目を集めた。教職を退いたあとは、教育現場へのアドバイザーとしても活躍する一方、多くの企業研修、人材教育に奔走している。