商品詳細

萌え家電

萌え家電

紙の書籍 家電が家族になる日  (携書 145)
価格: 1,080円(税込)
フォーマット
紙の書籍
電子書籍
紙+電子書籍セット
価格
1,080円
800円
1,480円
  • メーカーディスカヴァー
  • 発売日2015.6.24
  • ISBN978-4-7993-1687-0
  • ページ数200P
  • サイズ新書判・並製 /

商品概要

スペック重視の時代は終わった。ユーザーの「心」に訴える家電が未来を変える!

商品説明

家電に「スペック」ばかりを求める時代は、終わりつつある――!? これからは、もっとインターフェース(人との接点)を高めた家電、すなわち、ご主人様のためにけなげに働く「可愛い」「やさしい」「いつも側にいてわかってくれる」――萌え要素を装備した家電が、暮らしを変えていくだろう。

「あんたのために掃除してあげたわけじゃないんだからね!」とツンデレ化する掃除機など、なんの役にも立たないと思えるかもしれない。しかし、その背景には、日本人の擬人化文化、急速に進む住宅のスマート化、激変しつつある人とAI(人工知能)のつき合い方など、多種多様なことがらが関係しあっているのだ。

これまでは家電は人間の命令に従うだけの装置であったが、家電の側から人間に働きかけることができるようになってきた。家電が語りかけてくるようになってきたわけである。そこから、たんなる便利さを超えた、真の快適さ、もっといえば家電と暮らす幸福に近づく鍵が見つかるはずである。

使いもしない高機能よりも、愛せるかどうかで家電を選ぶようになる日は、もうすぐそこまで来ている。


(「はじめに」より)
家電を愛でる人たち

私たちは、家電史上もっとも愉快な局面にさしかかっている。家電とは何なのか。これまでであれば家事の一部を負担してくれたり、住みやすい環境をつくりだしてくれたり、映像を映し出したり、音楽を奏でたりする宅内電気機器のことを指しただろう。当然のことだ。家電なんて人間のために掃除をすればいい。弁当をあっためてくれればいい。部屋を快適な温度に保ってくれればいい。家電に求められていたのは、スペックなのだ。

しかし、現代はそれとは明らかに違う流れがはじまっている。まずは次ページの写真を見てほしい。これは、ロボット掃除機として有名なiRobot社の「Roomba」(以下ルンバ)のなれのはてである。繰り返すがルンバは掃除機である。しかし、このカバーをかけた人は、ルンバのなかに、何か掃除機以上のものを見出している。ペットの代わりなのか、それともゲームが好きすぎる御仁なのか。こんなものが室内を走りまわっていたら、ジャンプして踏みたくなること請け合いである! ルンバの愛玩化は圧倒的な広さを持っているので、本書では繰り返し語りたいと思う。

次に見ていただきたいのは左の図である。これは何かというと、画面内のキャラクターに話しかけると家電が操作できるというものである(神戸大学大学院システム情報学研究科・中村研究室の祖田心平氏が開発)。これまでもCGの人に話しかけていろいろサービスを受けるシステムはあった(コンシェルジュと呼ばれている)。しかし、このシステムの特徴はなんといってもそのコンシェルジュが日本の誇る二次創作キャラクター、「初音ミク」だということだろう。画面内の初音ミクに対して、「ミクちゃん、カーテン閉めて」というと、初音ミクは「カーテンを閉めます」と答えて、現実世界のカーテンが閉まるのである。ライトや扇風機も同様である。「全部消して」といえば、複数の家電を同時に操作して電気も消してくれる。外出するときなどに便利だろう。このシステムは、初音ミクファンコミュニティで話題となり、ニコニコ動画では2015年3月現在、5万回以上のアクセスを誇る人気になっている。

こういった風潮をひと言でいえば、家電の実現するものが、家事よりも大きな世界に広がりを見せてきたということなのだ。これは言い換えれば、家電に「仕事じゃないこと」を期待するユーザーが出現してきたともいえる。家電は何がしかの機能を提供するのみならず、その「インターフェース」(人との接点)の重要度が増しすぎた結果、これまで人間関係において観察されてきた「親しみ」や「ユーモア」、もっといえば「萌え」や「愛情」のようなものまで家電の文脈で語られるようになってしまったのだ。Wikipediaのエントリー「家電機器」にも、そろそろ書き加えなければならないだろう。「近年では、可愛くない家電は家電とはみなされない」と。

本書では、まずこのような最新の家電のインターフェースの事例をいろいろと紹介した後に、それを技術的に支えている要素について見ていく。ロボット史や萌えキャラ事例に寄り道しながら、次に、家電と接する人間の側に光を当て、「どうして家電を擬人化してしまうのか? 可愛いと思ってしまうのか?」について、擬人化にまつわる研究成果などを参考にしつつ考える。最後に、家電の未来がどうなるのかについて、私見を交えながら語ってみたい。

目次

はじめに

第1章 しくじったっていい。可愛ければ
 トラブルが可愛い
 着せ替える
 ロボット掃除機の多様な変化
 ココロボの衝撃
 家電に対する意識の変化
 シャープに聞いてみた
 家電の人格?
 人は家電をどこまで愛せるか
 ほどよい会話の距離感を
 家電のパラダイム・シフト

第2章 機械に対する意識の変革
 ロボットは可愛いという概念
 ロボットの老いと死
 モノに宿る魂
 軍事ロボットのあつかわれ方
 人型ロボットの可能性
 自動人形からロボットへ
 人に近づいてくるロボット
 なぜ人型である必要があるのか?
 可愛ければ何でもいいのか!
 車はこれから家電のようになる

第3章 歩み寄る企業とユーザー
 「Siri」たんと戯れる
 Siri,HomekitとAppleの野望
 ユーザーの力
 ルンバを制御してみよう
 自由な発想の大喜利
 拡充する初音ミクの世界
 無料のコミュニティ
 バーチャルな存在との関係が変わる
 萌家電プロジェクト
 おうちハック

第4章 人は擬人化を求めている?これからの家電
 人間は無意識にモノを擬人化している
 コンピュータに「人間」を見てしまう
 「生物」を感じる仕組み
 家電に命を感じるか
 擬人化の価値
 擬人化デザインの指針
 愛される家電が持つ素養
 家電がスパイに?
 家電が人間を表現する
 家電が持つべき「人間らしさ」とは
 アンチ全自動

おわりに
参考文献