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ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか?

ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか?

紙の書籍
価格: 1,620円(税込)
フォーマット
紙の書籍
電子書籍
紙+電子書籍セット
価格
1,620円
1,200円
2,220円
  • メーカーディスカヴァー
  • 発売日2017.9.13
  • ISBN978-4-7993-2167-6
  • ページ数232P
  • サイズ四六判・ソフトカバー /

商品概要

もう、そんなの知らないでは済まされない! 第一線の研究者(東大博士)であり、注目の若手起業家の高橋祥子が語る「生命科学で今何が起きているか?」

商品説明

テクノロジーの進歩と私たちの理解との間にあるギャップを埋めるにはどうすればいいのか。それを考えるのが本書の目的です。

第1章は、「テクノロジーが生物学を変えた」として、読者の皆さんが小中学校で習った生物の授業の内容と、今の生物学がいかに異なるものであるか、その理由としてテクノロジーの導入があったことを最初に紹介します。

第2章では、「ゲノム解析はデータ収集から始まる」として、ゲノム解析では膨大な人々からの膨大なデータが必要であることを示します。ジーンクエストの具体的な取り組みについても紹介します。

第3章は、「『私』のすべてがデータ化されていく」と題して、ゲノムだけでなく、私たちのあらゆる生体情報をデータ化して解析することで生命の謎を解明しようとする取り組みを紹介します。

ここまできて、読者の中には「『私』がデータ化されると何が変わるのか」「未来は一体どうなってしまうのか」と不安に思う方も出てくると思います。そこで第4章では、「生命科学のテクノロジーが『私』の理解を超えるとき」として、テクノロジーと社会の関係や、なぜテクノロジーの発展に人々や社会の理解が追いつかないのか、ジーンクエストの前日談とも言える大学祭のエピソードも交えながら考えていきます。

そして、第5章の「生命科学の『流れ』を知れば『私』の世界と未来が見える」では、テクノロジーを有効活用するために一人ひとりができる心構えを述べます。答えを先に書くと、それは「流れ」です。流れを理解できれば、おのずと未来を思い描けるようになるのです。生命科学のテクノロジーにはどのようなメリットとリスクがあり、有効活用するためにはどうすればいいのか、未来に向けた考え方ができるようになるはずです。

私の事業や専門分野の関係上、ゲノム解析に関連する話題が多いのですが、実はこれは、テクノロジーと社会との関係を考える一例にすぎません。今後も進歩を続けるテクノロジーをうまく活用するにはどう考え、どうつきあっていけばいいのか。皆さんの身近なテクノロジーを想像しながら考えていただきたいと思います。


(「はじめに」より)
少し前までは、ゆっくり進歩するテクノロジーについてゆっくり考え、どう活用すればいいのかじっくり議論する余裕がありました。ライト兄弟が初めて空を飛んでから数十年かけて、今の航空産業は確立していきました。

ところが、インターネットが一般に登場してから普及するまでは、もっと短い時間しかかかっていません。スマートフォンに至っては、10年も経たないうちに劇的に進歩しています。ネット犯罪や悪質な出会い系サイトなどの問題が生まれては、テクノロジーをいかすための議論が行われてきました。

では、生物学に浸透してきたテクノロジーはどうでしょうか。病気を治したり、そもそも病気にならないようにしたりするための方法であるのは間違いないのですが、本当にそんなことをやっていいのか、常に反対意見は出てきます。

例えば、ゲノム編集は遺伝子が原因の病気を治すことができるテクノロジーとして注目されていますが、受精卵のゲノムを編集すれば、思いどおりの人間を作ることも可能です。デザイナーベビーにつながるとして強く非難されることもありますが、だからといってゲノム編集というテクノロジーそのものを否定することはできるでしょうか。せっかく有用なテクノロジーがあるのに、それを活用できないことは、今の社会、そして未来にとって大きな損失です。

テクノロジーの進歩は止められません。進歩することこそが、テクノロジーの本質だからです。そして、テクノロジーが進歩するスピードは、いよいよ私たちが理解できるスピードを超えてきました。つまり、テクノロジーの進歩と私たちの理解との間にはギャップが生じつつあり、そのギャップは今後さらに広がるだろうと予想されます。

ならば、進歩するテクノロジーに向かって、私たちの理解はどうやって追いつけばいいのか、ということになります。

目次

はじめに
 このゲノムの持ち主を当ててみよ
 私がここにきた理由
 大学を飛び出したからこそできる新しいゲノム解析
 ゲノムから似顔絵を描く未来
 進歩するテクノロジーと人々の不安
 テクノロジーの進歩と私たちの理解のギャップを考える

第1章 テクノロジーが生物学を変えた
 100歳の男性が父親になる日
 未来のがんチェックはトイレで
 ゲノムに刻まれた私たちの祖先
 生物学+テクノロジー=生命科学
 期待されすぎたヒトゲノム計画
 ゲノムを知る時代が当たり前になる
 成長が著しく、予想しづらいのがテクノロジー
 生命科学は大量の生命データを相手にする
 タイミングの予測はできるか
 テクノロジーの「流れ」を知ることならできる

第2章 ゲノム解析はデータ収集から始まる
 生命の法則性とは「生命現象の再現・予測・変化」
 法則性の解明にはデータが必要
 遺伝子の一本釣りから底引き網漁法へ
 ジーンクエストも、生命の法則性の解明を目指している
 ジーンクエストのデータの信頼性をチェックしてみた
 インターネットの活用が生命科学研究を変える
 仮説構築力からデザイン力へ
 30万人のデータをもとに高学歴遺伝子を発見
 アートと実利、サイエンスの二面性
 ジーンクエストの研究でモテ期遺伝子が見つかるかも?

第3章 「私」のすべてがデータ化されていく
 ゲノム解析は当たり前のテクノロジーになった
 アメリカ100万人、イギリス10万人、アジア10万人
 ポジティブ遺伝子の探索が始まった
 テラバイトのゲノムデータをどこに保存するか
 ゲノムデータをシェアする時代へ
 遺伝子は企業の特許?
 ゲノム以外のデータも集められている
 「腸内細菌」までもが徹底的に調べられている
 ウェアラブルデバイスは今後どう使えるか
 生命データが加速度的に集約されていく
 そして、あらゆる生命データが統合されていく
 データが活用されることへの期待と不安が生まれる

第4章 生命科学のテクノロジーが「私」の理解を超えるとき
 「遺伝子検査」ではなく「ゲノム解析サービス」
 遺伝子決定論という誤解
 ジーンクエスト批判への反論
 大学祭の遺伝子解析の企画で感じた社会とのギャップ
 法則を解明するテクノロジー、影響を考える社会
 テクノロジーは、社会の受け入れ体制よりも早く発展する
 社会的な合意には時間がかかってしまう
 結論は歴史・文化・宗教観に左右される
 テクノロジーと社会とのギャップは今後ますます大きくなる

第5章 生命科学の「流れ」を知れば「私」の世界と未来が見える
 テクノロジーは幸せになるためのツール
 議論を呼ぶテクノロジーこそ社会を変える
 テクノロジーの流れは誰でも理解できる
 未来に向かって物事は変化するという時間軸を意識する
 時間軸を含めずに議論してしまった遺伝子組換え作物
 今、時間軸を含めて議論すべき生命科学のテクノロジーの一例
 生命科学は面白いからこそ活用したい

おわりに

著者からのメッセージ

そもそも本書を書こうと思ったきっかけは、多くの人がゲノムや遺伝子といった言葉を聞いたことがあり、興味はあるけれども、実際には何が起こっているのかわからない、という声が多いことに気づいたからです。

しかし、起こっていることについて、基本的な概念や原理と、流れさえ理解できれば、今後起こることを想像するのは、そこまで難しいことではないのです。少しでも多くの人が、生命科学という分野の変化や流れを理解できるように……。それならば、私が本という形で具現化しよう、と思いました。

変化について、進化学者ダーウィンの有名な言葉があります。「生き残る種というのは、最も強いものでもなければ、最も知能の高いものでもない。変わりゆく環境に最も適応できる種が生き残るのである」

変化する時代に変化に適応する。それ自体は自明であるように思えます。しかし、50年や100年では変化しないという前提で生きてきた人は、新しいテクノロジーの活用を否定することがよくあります。

変化する人と変化したくない人が一定母数いるのは、生命の生存をかけたA/Bテストだと考えると、当然発生しうる現象のひとつではあるのかもしれません。しかし、読者の皆さんには、未来を思い描いたうえで、起こるべき変化を素直に受け入れて適応する側であってほしいと願います。

推薦メッセージ

これからゲノムが熱い!
―― 堀江貴文