商品詳細

アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる 10 の原理

アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる 10 の原理

紙の書籍
価格: 1,944円(税込)
フォーマット
紙の書籍
電子書籍
紙+電子書籍セット
価格
1,944円
1,440円
2,664円
  • メーカーディスカヴァー
  • 発売日2017.10.13
  • ISBN978-4-7993-2183-6
  • ページ数304P
  • サイズ四六判・ソフトカバー /

商品概要

建国以来、脈々と続いてきた下劣で恥ずべき行動原理。今日のアメリカの真実を記す本書は、明日の日本に対する警告の書でもある!

商品説明

50年前からアメリカ社会の富の偏重に警告を発していたチョムスキーが、その予想通り極端な格差社会と成り果てた現在のアメリカを前に、なぜそのようになったのか、背後にある社会的、政治的な流れと変化について、率直かつ詳細に自身の分析を語る本書は、長期にわたるインタビューをもとにしたドキュメンタリー映画に、豊富な資料、注、スタイリッシュなイラストを加えて書籍化したもので、平易な語り口とPOPなブックデザインは、新世代にこそ読んでもらいたいというチョムスキーの意向が表れている。

<建国以来、脈々と続いてきた下劣で恥ずべき行動原理>
原理1 民主主義を減らす
原理2 若者を教化・洗脳する
原理3 経済の仕組みをつくり変える
原理4 負担は民衆に負わせる
原理5 連帯と団結への攻撃
原理6 企業取締官を操る
原理7 大統領選挙を操作する
原理8 民衆を家畜化して整列させる
原理9 合意を捏造する
原理10 民衆を孤立させ、周辺化させる

目次

アメリカンドリームはどこに?
富と権力を集中させる原理
富と権力の悪循環
下劣で恥ずべき行動原理

原理1 民主主義を減らす

富裕層という少数者
貴族政体論者と民主政体論者
不平等を減らす二つの方法
アメリカ社会の罪
対抗する二つの流れ
<資料>
 「富裕な少数者を保護するよう構成されるべきだ」 フィラデルフィア憲法制定会議における秘密の議事録と討論 ジェイムズ・マディソン 一七八七年
 「民衆に対する二つの態度」 ウィリアム・ショートへの手紙 トマス・ジェファソン 一八二五年一月八日
 「民主制と寡か 頭とう制を分けるもの」 アリストテレス『政治学』第三巻 第八章
 「民主主義の発達不全をもたらすもの」 アリストテレス『政治学』第六巻 第五章
 「原告サマーセット 被告スチュワート」 イギリス高等法院王座部、マンスフィールド卿の裁定 一七七二年五月一四日
 演説「民主主義は偽善だ」 マルコムX 一九六〇年
 演説「ここからどこへ」 マーティン・ルーサー・キング・ジュニア 一九六七年四月一六日
 演説「地球の日を新たな出発点にしよう」 ゲイロード・ネルソン 一九七〇年四月二二日

原理2 若者を教化・洗脳する

民主主義の行き過ぎ?
教育と教化・洗脳
批判的言論人への非難・糾弾
国益とは何か
<資料>
 「経営者はいまこそ攻撃的行動を」 ルイス・F・パウエル・ジュニア『パウエル覚書』 一九七一年
 『民主主義の危機: 民主主義の自己統制力を考察する』 三極委員会の報告書 一九七五年
 「注意欠陥障害であろうとなかろうと、学校では薬を飲ませればよい」 ニューヨークタイムズ紙 アラン・シュワーツ 二〇一二年一〇月九日

原理3 経済の仕組みをつくり変える

金融機関の役割の変化
経済の金融化
製造業の海外移転
自由貿易協定の真の狙い
労働者を不安定な地位に追い込むこと
金融化と海外移転に対抗する闘い
<資料>
 「“短期利益”中心主義に終止符を」 ウォールストリートジャーナル紙 ジャスティン・ラハル 二〇〇九年九月九日
 「同業組合法が『労働の自由な移動』を妨げている」 アダム・スミス『諸国民の富、その本質と源泉への探求』 一七七六年 
 「労働者を不安定な地位に追い込めば経済は健全になる」米国上院「銀行・住宅・都市問題」委員会での証言 FRB議長グリーンスパン 一九九七年二月二六日

原理4 負担は民衆に負わせる

プルトノミー(金持ち経済圏)とプリケアリアート(超貧困階級)
金持ち減税
税金の負担を富裕層にも担わせる闘い
<資料>
 「従業員の最低賃金をなぜ二倍にしたのか」 ヘンリー・フォード 一九一四年
 『プルトノミー: 世界経済の不均衡、商売するなら金持ち経済圏で』 シティグループ 二〇〇五年一〇月一六日
 「わが国によいものはGMにもよい。その逆もしかり」 米上院軍事委員会の公聴会 チャールズ・E・ウィルソン 一九五三年
 『経済調査: 所得格差の増大が米国の経済成長をいかに弱体化させているか、そして、その潮流を変えることはできるか』  スタンダード&プアーズ、二〇一四年八月五日

原理5 連帯と団結への攻撃

公教育への攻撃
公的医療制度の民営化
政府というものを消し去る
連帯と団結への復帰
<資料>
 「極悪人すら憐憫の情をもつ」 アダム・スミス『道徳的感情の理論』 一七五九年
 社会保障法 一九三五年
 退役軍人の社会復帰を支援する法 一九四四年

原理6 企業取締官を操る

グラス=スティーガル法
政界と財界を自由に往き来できる「回転ドア」
ロビー活動(議会工作)
規制緩和と金融崩壊
大きすぎて牢屋に入れられない
「企業社会主義」の国家
「外部性」と制度上の危機
市場原理主義―市場にすべてを任せろ、自由競争にすべてを任せろ
<資料>
 『繁栄の経済学:すべての人のための経済を構築する』 ジェイコブ・S・ハッカー&ネイト・ロウエンセイル 二〇一二年
 「企業のロビイスト(議会工作員)はどのようにしてアメリカ民主主義を征服したか」 『ニューアメリカ・ウィークリー』誌 リー・ドルートマン 二〇一五年四月二〇日
 『世界再編の論理: 競合する大企業複合体の政府依存体質にどう対処するか』 ウィンフリード・ルイグロク&ロブ・バン=トゥルダー 一九九五年
 「保護貿易は是か非か」 アダム・スミス『諸国民の富、その本質と源泉への探求』一七七六年
 「テキサス併合は綿花を独占し、ヨーロッパを苦しめるためだった」息子コロネル・タイラーへの手紙 ジョン・タイラー 一八五〇年四月一七日

原理7 大統領選挙を操作する

法人という名の人間
企業のお金で買われた選挙
真に重要なのは投票後の地道な活動
<資料>
 「原告シチズンズ・ユナイテッド(連帯市民) 被告FEC(連邦選挙委員会)」 連邦最高裁判決 二〇一〇年一月二一日
 「原告バックリー 被告バレオ」 連邦最高裁判決 一九七六年一月三〇日
 暴露「巨額の選挙資金と二〇一二年の大統領選挙に関して、評論家・専門家は、なぜ間違いを犯したのか」  『オルタネット』誌 トーマス・ファーガソン&ポール・ヤンセン&ジー・チェン 二〇一二年一二月二〇日

原理8 民衆を家畜化して整列させる

ニューディール政策
経済界の反撃
経営者の「新しい時代精神」
階級意識
<資料>
 「ルイス議長の組合といわれるUAWの指導部にフォード社員らが殴る蹴るの暴行。八万人が鉄鋼ストライキ、一六人が乱闘で負傷」ニューヨークタイムズ紙 一九三七年五月二七日
 演説「経営者たちはどのようにして価格管理局を破壊したか」 ハリー・トルーマン ケンタッキー州ルイビル 一九四八年九月三〇日
 「企業側は一方的な階級闘争を選択した」 ダグラス・A・フレーザー 一九七八年七月一七日
 「工場で働く人びとこそ工場を所有すべきである」 マサチューセッツ州ローウェルの「女工たち」『工場小論集』一八四五年

原理9 合意を捏造する

広報宣伝産業の勃興
消費者の捏造
非合理的・非理性的な選択
選挙の土台を掘り崩す
大統領候補者を売り出す
<資料>
 「実質的な権力は、常に多数者、すなわち被支配者側にある」 デイビッド・ヒューム『道徳、政治、文学についての論考』 一七四一年
 「統治者としての資質とは、大衆の習慣や意見を意識的かつ合理的に操作できる能力である」 エドワード・バーネイズ『プロパガンダ』 一九二八年
 「女性へのタバコ販売戦略: 社会的タブーから“自由のかがり火”へ」 アマンダ・エイモス&マーガレサ・ハグルンド 二〇〇〇年
 「子どもたちを“代理セールスマン”にする」 エリック・シュローサー『ファストフードが世界を食いつくす: アメリカ流食事の暗部』二〇〇一年
 『解放奴隷の借金労働を倍増せよ:アメリカ南部における囚人的労働の政治経済学』 アレックス・リキテンスタイン 一九九六年
 「オバマ勝利!アドエイジ誌の“今年の最優秀賞”」 『アドバタイジング・エイジ』誌 マシュー・クリーマー 二〇〇八年一〇月一七日 

原理10 民衆を孤立させ、周辺化させる

怒りの間違った標的
人間は「種」として存続できるか
政府の存在は自動的に自己を正当化するものではない
変革
<資料>
 「アメリカの政治理論を検証する:エリート、利益集団、一般市民」マーティン・ギレンズ&ベンジャミン・I・ページ 二〇一四年
 「政治は大企業によって社会に投げかけられた影である」 『ジョン・デューイの後期論文集 一九二五~一九五三年』第六巻(一九三一~一九三二年)  ジョン・デューイ 一九八五年
 「原告ブランデンブルグ 被告オハイオ州」 連邦最高裁判決 一九六九年六月九日
 「原告エドワーズ 被告サウスカロライナ州」 連邦最高裁判決 一九六三年二月二五日
 「原告ニューヨークタイムズ社 被告サリバン」 連邦最高裁判決 一九六四年三月九日
 「走る列車に乗っていて中立でいることはできない: 体験的アメリカ現代史」 ハワード・ジン 一九九四年

訳者あとがき
出典
索引

編集者メッセージ

映画を原書と比べてみたのですが、映画の素晴らしい雰囲気が書籍化されたとき死なないよう映画封切後も一年以上かけて編集された成果を、原書の随所に見ることができました。翻訳された本書でも、その原書の雰囲気がみごとに再現されていることは本当に嬉しいことでした。

アメリカが現在いかに悲惨な状況にあるかは、本書を読むだけでも充分に分かっていただけると思いますが、日本の知識人のなかでは「日本はだめだけれどアメリカは素晴らしい」という言説が相変わらずはびこっています。

しかしアメリカの司法制度がいかに腐敗堕落しているかは、本書でマルコムXが演説しているとおりです。

教育制度についても同じです。安倍政権は日本の若者を大量にアメリカへと送り込む留学計画を大々的に打ち出しましたが、アメリカの教育制度がいかに壊滅状態であることは、本書でチョムスキーも言及しています。これでは例証として不十分だと思われる方は、拙著『英語で大学が亡びるとき』を参照していただければ幸いです。そこにはアメリカ大学の実像、たとえば女子学生が授業料を払うために娼婦を兼業している実態も述べておきました。

私は10年以上もアメリカに通い続けているうちに(そのうちの1年はカリフォルニア州立大学で教えたこともあります)、アメリカの暗部をますます深く知るようになりました。そして、「現在のアメリカは10年後の日本だ」と学生に言い続けてきましたが、今の日本を見ていると「今日のアメリカは明日の日本だ」と思うようになりました。本書が明日の日本に対する警告の書になることを願ってやみません。
(「訳者あとがきより」より)