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博士漂流時代

「余った博士」はどうなるか?

博士漂流時代

紙の書籍
価格: 1,296円(税込)
フォーマット
紙の書籍
電子書籍
価格
1,296円
960円
  • 発売日2010.11.15
  • ISBN978-4-88759-860-7
  • ページ数304P
  • サイズ新書判ソフトカバー /

商品概要

1950年代以降、科学技術振興政策によって大量に生まれた「博士」には、なんと就職先がなかった……。博士余剰問題を統計データと取材に基づいて考察し、具体的な解決策を提言する希望の書。

商品説明

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1950年代以降、科学技術振興政策によって大量に生まれた「博士」には、なんと就職先がなかった……。

かつては「オーバードクター」と呼ばれた彼らのために「ポスドク」という働き口が用意されたが、これも不安定で低収入、
しかもその先に研究機関や企業での就職が保証されているわけではない。
かくて「博士余剰」問題は未解決のままだ。

こうした博士の就職難により大学院進学者も減少、
これでは日本の科学技術研究の未来も危ぶまれる。

しかしまだ遅くない。日本社会よ、博士をもっと活用しよう!
博士の活用は科学技術の発展、そして不況にあえぐ日本の再生につながるはずだ。
博士余剰問題を統計データと取材に基づいて考察し、具体的な解決策を提言する希望の書。

【ディスカヴァーサイエンス 005】

目次

目次
第1章 博士崩壊
浮かれ気分でいるときに
「博士が100人いるむら」の衝撃
消えた先輩
東大は出たけれど……
医学部に殺到する博士たち
博士はバカ? 
激変する博士、ポスドク
ポストドクターという職業
長時間労働、薄給、不安定―ポスドクの実態
ポスドクの先の絶望
一生ポスドクはあり?
教員がポスドク化する
バイオの無残
心病む博士
もはや博士を目指さない
「高学歴ワーキングプア」の先に……

Column 1 博士とは

第2章 博士はこうして余った
始まりは戦後
余り始めた博士 1970年代
社会問題化する博士浪人
動き出した博士たち
OD問題解決の「秘策」はポスドクにあり
バブル―OD問題の解消
ふたたび大学院生倍増
大学院重点化は東大から
ポスドク1万人計画の誕生
必要だけど余る―ポスドクのパラドックス
予測された「博士余り」
科学者に当事者意識はあるか
博士の21世紀
第3期科学技術基本計画 多様なキャリアパスの支援へ
持参金500万円?
博士の完全雇用
博士余りは世界でも
政府に足りないもの

Column 2 研究室という世界

第3章 「博士が使えない」なんて誰が言った?
博士問題への厳しい意見1 博士は優秀じゃない?
博士問題への厳しい意見2 博士のマインドが問題だ
博士問題への厳しい意見3 自己責任だ
博士問題への厳しい意見4 外国に行けばよい
博士問題への厳しい意見5 もっと困っている人がいる
博士問題への厳しい意見6 博士なんか減らしてしまえ
結局、「適材適所」の問題だ
必要なのは雇用の流動化
不遇の先にあるもの

Column 3 博士の給料

第4章 博士は使わないと損!
活躍させないのは罪
若手研究者の活躍の場を拡大せよ
テニュア・トラックを拡充せよ
独立と自由を与えよ
博士+Xで生きよう
活躍の場は「中間的な科学・技術」
博士の活躍を促すために

Column 4 博士の質

第5章 博士が変える未来
ブダペスト宣言
社会のための科学と博士―科学2・0へ
研究は市民の権利
NPOがつくり出す多様な社会
科学に関わり続けよう
市民の役割
博士が変える未来

付録 博士の就職問題について識者に聞く
橋本昌隆さん「ポスドク問題 文科省と大学の共同謀議」
Vikingjpn氏「ポスドク問題は日本の基礎研究体制の構造的問題」
小林信一さん「このままでは大学院が見捨てられる」
奥井隆雄さん「博士の問題は「専門性」「指向」「能力」に分けて考えよ」

あとがき

著者からのメッセージ

今ならまだ間に合う。余ったと言われる博士を、国や大学だけでなく、社会がどんどん活用すればいいのだ。いや、それだけでは言い足りない。活躍してもらわなければ困るのだ。活躍は義務なのだ。博士になるのには、長い時間とお金がかかる。博士はみなそれなりに高い難易度の大学を突破した人たちだ。大学院に行かず他の分野に行っていたら、きちんと就職はできただろうし、能力が高いから、活躍もしただろう。そんな多額の時間とお金をかけて生み出された人材が、活躍の場もなく失業やワーキングプアに怯えているなんて、おかしくないか? 金、時間、人材の浪費だ。そんな無駄をしている余裕は今の日本にはない。視野が狭い? 年齢が高い? 処遇に困る? 誰にだって欠点はある。世の中に完全無欠の人間などいるだろうか。多少の欠点には目をつむってでも博士が持っている知恵を使い倒し、新しい発見や発明をしてもらったほうが、得られるものは大きいはずだ。博士を使い倒すと利益がえられるのは、研究開発職に限らない。教育現場に博士がいれば、子どもたちの目は輝くだろう。また、食品安全、原子力、BSE(狂牛病)、生殖医療、環境といった、科学・技術と社会が深くかかわる課題に取り組む博士が増えたら、課題の解決に近付くことができるのではないだろうか。政府に博士がいれば、科学技術をもっと活用する政策が立てられるのではないか。実は、博士を雇ったことのある企業は、おおむね博士の能力に満足しているという。博士を高校の先生として雇った秋田県は、博士先生の活躍を高く評価している。博士は伊達じゃないのだ。こんな能力を使わないで「食わず嫌い」しているのは、あまりにもったいない。人材を有効活用できていないというのは、何も博士だけではない。今の日本では、年功序列、雇用条件の硬直化、縦割りといったことで、あらゆる分野で、人材をうまく活用できていないのが現状だ。博士という、一般には使いにくいと言われる人材の才能をフル活用することができ、日本が元気を取り戻したら、それは日本の雇用、働き方という部分に大きなプラスの影響を与えるに違いない。こうした状況をみれば、優秀な人材が博士になり、また新たな成果が生まれる。たとえ博士にならなくても、理工系の分野に進ん活躍できる。それを見て次の世代の子どもたちがまた博士にあこがれ、理工系に進学する。また、博士が活躍できれば、理工系人材の能力活用のモデルになり、企業で働く技術者など、さまざまな場所で働く理工系出身者にも光が当たるだろう。いったんよい循環ができれば、日本はこれからも科学技術で喰っていくことのできる国になる。博士が活躍する影響は日本だけではない。日本から新しい研究成果が次々出れば、世界が、人類全体が恩恵を受けるのだ。そうすれば、日本は世界の尊敬を集める科学技術の国になるだろう。優秀な人材が日本を目指してやってくるだろう。世界のエリートが日本で活躍し、私達と同じ釜の飯を食って、日本に親近感をもち帰国する。そして各国で政治、経済、科学の指導者になっていく。それは、どんな兵器より、どんな外交より平和に貢献するはずだ。 やや力が入りすぎたが、決して言いすぎではないと思っている。私は、博士の活用こそ、不況にあえぐ日本の大逆転の鍵であり、人類の未来を決める鍵だと信じている。 本書では、博士を中心とする科学技術人材の現状にふれながら、博士の能力とは何か、博士が活用される社会がどのようなものになるか、大胆に予想してみたい。さらに一般の市民が博士を使い倒す方法について述べてみたい。博士を使い倒す国日本。希望の未来をみてみよう。(「はじめに」から)